9月10日(日)13:00~17:00
シンポジウム「何度もおきた日本沈没-景観史の視点からみた日本-」
場所 吹田市立博物館 講座室
講師 内山純蔵氏
(総合地球環境学研究所 助教授、専門:先史人類学、動物考古学)
Kati Lindstr?m(カティ・リンドストロム)氏
(総合地球環境学研究所 研究支援推進員、専門:景観史学)ほか
8月から開催される「吹田の景観を掘り起こす」に関連するシンポジウムを、京都市にある総合地球環境学研究所などから研究者を集めて行います。テーマは「日本沈没」。日本の沈没は、未来の話ではなく、かつて何度もあったというのです。それも人間のいた時代に。さて、いったいどんなシンポジウムになるのでしょうか?
日本人は桜の花を愛でます。春になると、さっそく桜の下にマットをひいて、お酒でも飲んで花見をします。ところで、日本人が突然、桜の花よりも草原の花を愛でるようになれば、どうなるでしょう?まず、チェーンソーで川沿いや公園の桜を切る。つぎに、ブルドーザーで池や田んぼを埋め、美しい丘を作り、草を植えるでしょう。今の日本の風景は草花のなかに沈没し、忘れ去られていきます。
実は、日本はこれまで、何回も沈没したことがあります。今よりもあたたかな気候のもと、広がった海辺で貝を集め、土偶を崇めた縄文の風景は今、ありません。おなじように、水田を作ったとき、村の奥山の木を切って杉を植えたとき、いつも日本のある姿が沈没して、新しい何かが生まれてきたのです。このシンポジウムでは日本が経験したいくつもの沈没を振り返りつつ、風景の沈没と誕生が私たちにもたらしてきたものを考えましょう。
コンセプト:「景観(ランドスケープ)」とは、単に目に見える風景だけでなく、自然や文化など、さまざまな要素が組み合わさった広い概念です。映画『日本沈没』のリメーク版が公開されました。ここでは、未来のありえるかもしれない沈没が描かれています。しかし、景観の観点から見れば、人間にとって、それまでの景観が短期間のうちに姿を消し、次の全く新しい景観に置き換えられるという景観激変、いわば「景観沈没」は、遠い過去から現代まで、何度も繰り返されてきたことなのです。沈没のたびに、人間の世界観や自然とのつきあい方も180度の変化を遂げてきました。最近でも、千里ニュータウンの出現は、それまでとは異なる新しい社会の出現を象徴する一大「景観沈没」だったといえるでしょう。本シンポジウムでは、「景観沈没」とそれに続く新たな「景観出現」の際に、何が起きるのか、さまざまな事例を紹介し、人間と景観のかかわりについて議論します。
(コラージュ&文 by じゅんぞう)
内山純蔵先生のすすめておられる研究プロジェクトの概要はこちらを、プロジェクトのHPはこちらをご参照ください。
(by ぼら)
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