この展示は実験展示として、5ヶ年計画ではじめたものですがもう4回目になりました。すいはくは地方博物館としての役割を果たすのが本来だろうと思うのですが、博物館そのものの意味を考え、追求して全国発信することもも必要だと思います。
この展示の発想にはいくつかの背景がありました。
これまでの博物館への反省
まず、博物館が「お宝」を展示が行すぎきて、展示品をガラスケースに閉じこめてしまっていることへの反省。今のままでは、視覚障害者にはまったくとりつきようがないじゃないかということでした。千里ニュータウン展の時、たくさんの高齢者の方がみにきて、ミゼット、バスオール、当時の台所再現に興味深そうに触っていたことが印象的でした。
もう1つは、「さわる仏像」について前館長の西村公朝さんの関心がたかく、実際につくっていたこともあって、学芸員のTさんが展示に興味をもっていたこと(レプリカの実物大月光菩薩にさわる試みはすでにやっていました)。
参加者側からも博物館を楽しみたいという要望がありました。すいはくでは「はくぶつかん盛り上げ会」という、ボランティアの会議が定期的に行われているのですが、点字、音訳、介護関係の方々から、パンフや解説の制作といだけでなく、もっと積極的なものをという要望や試案がだされていました。気がつくと、これは国際的な動きで、ユニバーサルムージアム=みんなが楽しめる博物館をつくろうという動きが今、高まっていたのです。
刷り込まれた差別感
ミンパクの広瀬さんがこの問題に取り組んでいました。私たちは障害者に対して、(過去に)刷り込まれた差別感(言葉、いきすぎた遠慮など)をもっているようです。だから無意識のうちに、意識していても、いつの間にかそんなことをいったり表現したりするのでこわいのです。広瀬さんは視覚障害がありますが、そんなことをものともせず明るく行動しているのでとても話しやすい(職場では私の後輩だったということもありますが)、そこでアドバイザーとして助けていただくことにしました。ということでおそるおそる第1回の展示を始めました。ちょうどその時、民博でユニバーサルミュージアムの特別展をやっており、国際シンポジウムがあって、そのメンバーがすいはくに見学に来ていろいろアドバイスをうけたのは幸運でした。
その後いろいろ工夫を重ねて今年に到ったのですが、本年は考古学関係のレプリカをたくさんならべたのが好評でした。ワークショップの埴輪づくりのほか、香道のイベントもやりました。この展示は、予算も少なく、20日間という短い期間でしたが、ようやく観覧者数がふえてきました。大阪市の団体が来るなど、注目されるものになりつつあるようです。これからも、みんなが楽しめる博物館にするためには何ができるかを考えていきたいとおもいます。
(カンチョー)
コメント
広瀬先生が講演のなかで、1回目のさわる展示はすごいと思ったが、2回目はかわりばえせずがっかり、でもそれをこりもせず4回も続けるのはこれはこれですごいとおっしゃっていた。耳が痛い。