11月6日(日曜)午後2時~3時30分、澤井浩一氏(大阪歴史博物館学芸員)の講演会「一夜官女とその周辺-淀川河口部地域の民俗文化-」がありました。
大阪市西淀川区野里の住吉神社の一夜官女祭は、どんじ祭りと同じく神饌を作って神社に奉納し、その際に人身御供とされる少女が供物を奉納することに特徴があります。江戸時代から人身御供の奇抜さから奇祭として地誌や絵画資料にも取り上げられてきました。
野里は中津川の端に位置し、川がくらしと密接に関わっており、川の氾濫にも悩まされてきた地域です。
神饌にはそのような関係を反映するように鯰、鯉、鮒といった川魚を調理したものがあります。人身御供をもたらす悪神の正体も川の氾濫をもたらす龍と考えられ、淀川河口部には野里以外でも同様に災いをもたらす龍の存在と川魚を供える祭りがあり、中津川の氾濫が祭りに影響を与えてきた共通する祭礼文化をもつ地域と考えられます。
また、人身御供とされる少女は神饌を運ぶ少女であり、古代からの女性司祭の伝統が反映されてきたものである。といった民俗的背景について話がありました。
(HF)
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