4月20日(日)の博物館トーク、藤井裕之さんの「民具の機能と心象世界-箕を中心に-」を聴講しました。
トークの内容は、藤井さんの専門である民具研究は、これまでモノの機能、形態に重点をおいて研究が進められてきたが、実用的機能の他に信仰に関わる側面があり、それを体系的にとらえ把握したいという視点から、箕は弥生時代からあり、唐古遺跡(奈良県田原本町)から竹で編んだ箕が出土。『日本書紀』にもでる。
機能は穀類の粒と塵、糠などを選り分ける風選と運搬。素材は、竹、藤、樹皮など身の回りにあるもの。形状は、片口と円形で、奄美大島から沖縄、中国南部東南アジア インド アフリカにまで分布。
心象世界にかかわるものは
1)神饌の容器、 収穫後に稲と鎌を入れる、 正月(ミタマノメシ)や十五夜に箕の中に供物を入れる、ほかに盆棚、歳神や田の神(アエノコト)にも。
2)人の生死に関する呪法
a. 厄年に生まれた子や体が弱い子を箕の中に入れて四つ辻などに捨てるまねをする。
b. 病人を扇いで治癒を祈る。
c.死亡した時、失神した時には屋根の上で箕を扇ぐ( 死ぬことを箕をかぶったという)。
d.出産直後に箕を的にして夫または舅が弓を射る。「イリコヤス」や「弓通し」といわれる。
e.誕生の餅
f.1歳の誕生日に一升餅を背負わせ、箕の中で立たせる。箕の中に餅を置き、その上を踏ませる。「シイナは舞っていけ、実は残れ」 と唱え振る
g.疱瘡、麻疹などの予防、治療の呪い:箕の中に桟俵を置いて子どもをすわらせ、頭に鍋蓋をのせてスイカズラの煎汁をかける。
h.箕をかぶる・入る 箕の中に入ると小さくなる: 同齢者が死亡したのを聞くと竹箕、篩などをかぶる。あるいは頭に笠をかぶって四つ辻まで行く。(耳塞ぎ) 盆の十三日の
丑三つ時に母屋の本戸口の脇で箕をかぶってしゃがんでいると すべての先祖の姿が全部見える。平素は箕をかぶってはいけない。
i.修験道と胞衣:胞衣は母親の胎内にある胎児の頭頂にあって、子どもを覆い守り育てるもの山伏が頭につける斑蓋や仏界荘厳である天蓋は、胞衣を示す。
など豊富な民俗事例をまじえ、収蔵品の実物3点を、見せながら、わかり易く、親切に説明をして頂きました。
(きょうちゃん)
コメント
TV番組は、クイズが人気・・・漢字の問題等・・20番組もあるとか・・これも、チョロ見 HPでは・・用意してくれていた毛布を巻きつけ、「箕」の虫状態で風に吹かれています 私が掛けた「蓑」は、お爺さんが自作のシュロ木作り -農家の屋敷には必ずと言って良いほどシュロの木が植えてあり、そこから取れる茶褐色の繊維を使ってシュロ縄を編んだ- 日が暮れたら寝ることや!!
お調べ みの カヤ・スゲ・わらなどを編んで作った、合羽かっぱのように肩から掛けて着る雨具。 わらで作った雨具「蓑(みの)」に形が似ている為に「ミノムシ」と呼ばれるようになった。