アボリジニと水 :11/26(土)講演会の予告編

11月26日(土)の講演会「水辺の祭祀-宗教考古学の視点から」では久しぶりにアボリジニについての話をしようと考えています。同時に行われる高橋さんは、水の多い日本の祭祀遺跡についてですが、わたしは逆に水の少ない土地での話です。

オーストラリア大陸は平坦であるため、山脈のある東海岸や熱帯モンスーン地帯にかかる北海岸など一部の地方を除けば、降雨量が大変少ないことが特徴です。

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とくに中央砂漠では年間500mmを下まわるところが多く(日本なら豪雨の一回分にもなりません)、しかも日中は高温になるので、地表面の水は蒸発して塩湖になります。乾燥が激しいため、植生はうすく動物も大変住みにくい環境なのです。しかし、雨が降ると、草原には緑がよみがえり、トカゲやヘビなどの食料品が一挙に増えるという現象が見られます。しかし、それは瞬間的といえるほどに短く、3週間もすると草原の花はドライフラワー状になってしまうのです。

そんな場所にも人は1万年近く前から住み続けていました。それでも、水の不足は決定的で、人口は少なく、小さな集団に分かれて、定住することのない狩猟採集生活をつづけていました。彼らは文字を持たなかったので、その知恵や技術は伝承や岩に描かれた絵によって伝えられてきました。

現代オーストラリア絵画を代表する点描画は、その技法を継承したもので、たくさんの小シンボルが散りばめられているのが特徴です。それは、祖先の旅を語るものですが、実際の地図であるともいわれています。なかでも重要なのは泉をあらわす同心円文で、それを辿れば何千キロにもわたる旅ができるといわれています。泉は砂漠に生きた人たちに今でも大切に守られています。最近、エアーズロックの登山を禁止する案がアボリジニ側から出されていますが、それはここが彼らの聖地だからです。

(カンチョー)

◆小山修三館長と高橋真希学芸員の歴史講座「水辺の祭祀-宗教考古学の視点から-」は、
11月26日(曜)午後2時~3時30分です。多数のご参加をお待ちしています。

コメント

  1. もぐら より:

    エアーズロック、ウルルーの神秘的な写真ですね、、、。乾燥した大地の風が伝わってくるような気がしました。

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