このブログのスタートは、2006年4~6月に市民企画によって行われた企画展「千里ニュータウン展」の広報手段として始まったものにさかのぼります。予算はない、市の公式ホームページは運用基準が厳しく市民の自由闊達な生活のありさまを伝えられない…という制約から考え出されたのが、当時台頭しつつあった「ブログ」の活用でした。
実行委員会の有志数名が運営するという建て付けで、NTTコミュニケーションズが提供していた無料のdeblog(ドブログ)サービスを利用し、2005年10月から開始しました。
始めてみると活発な投稿があいつぎ、当時館長であった小山修三さんも熱心に投稿され、このブログは「もう一つの展示会場」と言っていい情報のやり取りが行われる場となりました。「千里ニュータウン展」は同館の通常2年分の来館者を44日間で集めてしまう大盛況を呈して終了し、地域や博物館業界でも大きな話題となりました。
問題は「千里ニュータウン展が終わったあと」です。せっかく盛り上げた吹田市立博物館を「宴のあと」にはしたくない。ブログだけでも続けられないか…と残り火さめやらず、このブログは単発の企画展の広報手段から、吹田市立博物館をとりまく地域文化資源の発信の場として拡大解釈され、引き続き、市民有志が運営を続けることとなりました。(この時に「千里ニュータウン展」用のブログはいったん更新を止め、同規格で別のブログを立ち上げ、更新を引き継ぎました。)同館の企画展がある前後には、その情報も出ますが、それに限らず、ありとあらゆる「関係ありそうな活動」がここに投稿されることとなりました。
2009年にはdeblogがサーバーダウンで突然サービスを停止してしまうという「事件」もありましたが、全データを救出し、NEC系列のBIGLOBEが提供する「ウェブリブログ」に手作業で半年かけて引っ越して更新を続けました。この時に「千里ニュータウン展」用のブログと、その後立ち上げたブログは再統合されました。
2011年頃から世間はしだいにSNSの時代となり、吹田市立博物館をとりまく「新しい非公式情報」もしだいにSNSにアップされるようになりましたが、過去投稿のストックが3,000を超えるようになるとこれはこれで参照されるため消すわけにもいかず、細々と「枯れた運用」を続けることとなりました。地域の情報には「ストックされていること」に意味があるものもあります。当ブログに書かれている内容は、詳細な講演録からおしゃべりやアイデアフラッシュのような「言葉の断片」まで玉石混交、種々雑多ですが、それはまさに市民文化の反映です。中には、70年万博で生まれた「象のひろば」の行方探しなど、このブログの記録からその後の展開につながったものもあります。
さらに時は流れ、2022年には「ウェブリブログ」の2023年1月末でのサービス廃止が予告されました。この時点で3,235投稿。さてどうするか。過去17年間の皆の記録が消えていいとはとても思えず、地域財団として立ち上げていた「一般財団法人 千里パブリックデザイン」が管理を引き継いで、同財団で借りているサーバーにブログの形態として現在世界で最も汎用性の高いwordpress形式で移行することといたしました。(今回は手作業でやるほどの時間はなく、プロの引越し屋さんに費用を払ってお願いしました。)
今後は更新をするかもしれないし、しないかもしれません。しかしストックはストックとして、ネット上に置いてあることで再活用される可能性があるかもしれません。地域の文化は、つないでいくことで、文化になります。この「おもちゃ箱のような」ブログから、何か宝物を見つけていただければ、幸いです。(お問い合わせは、上記リンク先のサイトから千里パブリックデザインまでお願いいたします。)
2023年2月
一般財団法人 千里パブリックデザイン 理事長 奥居武
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