「大英博物館に近づいた」: 館長からの御礼のことば

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先週末は14日(土)の地球研との共催のシンポ「とりあえずビール」、15日(日)は「テースティング日曜スペッシャル」は、入館無料日の日でもあったためにぎわいを見せました。とくに15日のイベントは市民からの要望と協力によって急遽行った企画で、広報はこのブログ、口コミ、館内ポスターにたよるしかなかったのですが、大成功に終わり、館長として大変うれしく思っております。来館者の中には研究者や展示、イベントの専門家もいて、この展示やすいはくのあり方に関して貴重な意見や批判をいただき、大変ありがたかったです。

ビールを飲む場所と展覧会の場所が異常に接近している状態になったからこそ出た意見もありました。それは、「博物館でビールが飲めるとは画期的な企画である」という言葉です。しかし、わたしは画期的なものではなく、当然のことであり、あるべき姿だと信じています。

博物館の中にレストラン、スナックがあり、酒も飲めるのはイスラム圏など、禁酒が国是となっている地域の以外では、ふつうにあることです。日本でも、ミンパク、東博、奈良博などの国立(だった)博物館をはじめ、各地の大型の博物館も同じです。大言壮語すれば、すいはくも大英博物館に近づいているのでございます。

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博物館では酒は飲んではいけないというのは、私が館長になって吹田にやってきたとき聞いておどろいたことです。しかし、明確な法の規制ではなく、慣習法的なもので、それは、市民の酒に対するイメージに起因しているようです。この問題は、現在このブログで連載中の文明史としての「酒の飲み方」を見ていただきたいのですが、それぞれの社会には文化的なしばりがあり、日本ではまだ村落共同体の無礼講の飲み方のイメージが残っているようです。しかし、わが吹田では市民の公共に対する意識は確実に向上しており、欧米に劣らぬレベルになっています。例えば、トンネルアートですが、数日のうちに落書きで消されてしまうのではないかと恐れたのですが、今のところ大きなトラブルがないことがそれを証明しているのではないでしょうか。

博物館での飲食については、入館者数が少なく、学校やツアー客など、短期間しか滞在しない客の多い、博物館の場合、維持・管理費が予算的な重荷になり、それはすいはくも同じです。なかでも大きい人件費について、市民がボランティアとしてサポートしてやろうとする大勢がうまれてきたのは、大変心強いことです。

昨日、印象的だったのは、お祖父さんと孫が一緒に展示を見たあと、それぞれビールテイスティングと空き缶アートをやり、仲良く手をつないで帰って行った光景でした。博物館は見るだけではなく、知的な遊びの場として、みんなが楽しむ場所にしたいというのが私の切なる想いでございます。今後もよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

(カンチョー)
写真:地ビールのみせびらきをしているカンチョー(2008.11.5.@ミンパク梅棹資料室)

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