年輪からわかること:「吹田市の自然物語」

画像昨日、7月19日(日)の講演をお願いした光谷拓実先生を訪ねました。

「年輪は木が記録したカレンダーです。気候や地形の違いを木が育った環境を微妙なところまで記録しているのです。今のところ、それが読み取れるのはスギ、ヒノキだけですが、将来はマツとか常緑樹もできるようになると思います、若い研究者に期待しています」。沢山の資料を前に光谷さんは語ってくれました。

光谷さんは日本の年輪年代測定を確立し、2000年以上にわたる基本的パターンをつくった人です。これによって弥生時代が定説より100年以上遡り、考古学者は大あわてです。従来の年代は型式や様式論が主だったのですが、それでは時代幅が広すぎ、漠然としていました。年輪年代はそれを科学的にピンポイントしたのです。最近は、C14年代値ともよくマッチするようになっています。

画像「手探りの状態で始めたのですが、1985年に、池上曽根遺跡(大阪府)で、紀元前52年という年代が出て、それまで弥生中期のと呼ばれていた遺跡が、クレオパトラと同じ時代にあったとわかった時はいささかの興奮を覚えました。ほかに、紫香楽宮の場所が特定できたこと、最近では、五重塔の芯礎が、594年に伐られたことが分かって、明治以来続いていた、法隆寺再建ー非再建論争に、論争に大きな影響を与えたと思います」。
 
発掘が盛んで、方法も進んでいる日本の考古学遺跡からはたくさんの木の出土品があります。「吹田市の自然物語」にさいして、光谷さんにお願いしたところ、榎坂遺跡の井戸枠は892年に伐られた樹を利用していたことがわかりました。ほかに、江坂スサノオ神社の絵馬も、木目がはっきり出ているので、調べれば年代が分かるだろうとのことでした。

画像これらの遺品と、研究室からお借りした年輪サンプルはロビーの正面に「吹田市の木の遺産」として展示します。

写真の説明 上から
1.若い研究者たちと光谷さん
2.年輪を直接読み取る機械(手製だそうです)
3.写真から年輪を読み取る

(カンチョー)

講演会のお知らせ
■日時 7月19日(日)午後2時~3時30分
■場所 すいはく講座室
■演題 「自然が書いたカレンダー -年輪からわかること-」
■講師 光谷拓実氏(総合地球環境学研究所客員教授)

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