8月23日(日)、市民フォーラム「吹田の地盤と防災(断層・地震・水害)」が吹田市立博物館講座室において開催されました。このフォーラムは吹田市立博物館春季特別展『吹田 いま・むかし』 「第3期 吹田の自然物語」の関連イベントとして開催されたものです。本市民フォーラムは予定時刻の13:30丁度に始まりました。
中川康一氏(大阪市立大学名誉教授、NPO法人 地盤・地下水環境NET 理事長)が「吹田の地盤と防災(断層と地震)」という標題で基調講演をされました。
スライドを使った講演で、その内容は、次に示す6つの分野にまたがる多岐にわたるものでした。
① 最近の地震
② インドネシア巨大地震と巨大津波
③ 地盤特性と地表被害
④ シナリオ地震と地震動予測
⑤ 地震を音として聞いてみよう
⑥ 地盤の液状化モデル実験
以下に、基調講演の中で印象深かった点について述べます。
①については、イタリア地震、四川地震、中央ペルー地震などについて解説された。どの地震にも共通していたのは、建築物の破損倒壊が壊滅的であり、しかも、壊れたコンクリートの中に鉄筋が組み込まれていないことです。日本などと違って、耐震対策がなされていないことです。また、アスペリティについて、断層モデルを使い、分かり易く解説していただいた。
②については、巨大津波によって約40万人もの人命が奪われた。
③中越沖地震では、切土・盛土境界及び盛土地盤に被害が集中した。学校や病院などの公的施設は切土地盤に建設すべきである。また、中越地震でも、高速道路は盛土のところが崩落した。
⑤については、地震動を音として聞かせてもらった。ほとんどの出席者の皆様にとって初めての経験であったと思う。
⑥については、砂が水分でしめっている程度であるのに、震動によって簡単に多量の水がしみ出し、水浸しになったのには多くの出席者が驚きました。
吹田地域に起こりうる地震被害について解説されました。兵庫県南部地震の時には、上町断層の西側に沿って大きな被害を出した地域(豊中市)が存在したが、上町断層の東側に当たる吹田地域にはほとんど被害はなかった。近い将来に予測される南海・東南海地震でも、地震動による被害は同じような傾向になると予想され、むしろ津波被害の方が心配であるとのことであった。しかし、上町断層が活動して地震が起こった場合には、断層の上盤に当たる吹田地域は震度7の大激震に襲われ、壊滅的打撃を受けるとのことでした。ただし、上町断層については活動周期・最後の活動時期などわからないことが多いということです。
液状実験 模型
(林 隆夫、写真きょうちゃん)
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