延喜式にみる野菜

4月24日に石毛直道先生とカンチョーによる「古代食」の講座があります。これに関連して「延喜式にみる野菜」について、山口大学教育学部の五島淑子先生の論文から抜粋してご紹介しますと・・・

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平安時代中期に編纂された「延喜式」(927)巻39の内膳司の巻に供奉(ぐぶ)雑菜を取り上げる。これは、宮内省に供給する蔬菜の種類と数量などの記録である。記載された野菜には、シロウリ、ナスビ、ヒユ、アザミ、フキ、カブナ、ククタチ、ナズナ、チシャ、フユアオイ、ギシギシ、ニラ、ネギ、ニンニク、ショウガ、サンショウ、タデ、アララギ、コウサイ、ダイコン、セリ、ナギ、イモガラ、エダマメ、ササゲ、サトイモ、マクワウリ、ハハコグサ、タケノコがある。

蔬菜の取り扱い時期から、周年にわたり、年間いつの時期にも何かが生産されていること、6月から9月頃までは、果菜のほか多くの葉菜類が供給されている。正月から3月までの冬から早春は、種類の数が少ない。冬は蔬菜が少なく、そのため漬け物が重要視されたものと思われる。カブナは年間を通して生産されていることが指摘されている。(青葉 1991)
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現在の主要農産物を農業統計でみると、野菜は、根菜類、葉茎菜類、香味野菜、果実的野菜、果菜類に分類されている。これと延喜式に記録された野菜とを比較してみる。
ダイコン、カブ、サトイモ、ナス、ネギは、延喜式に記され、現在も生産がつづいている。しかし、アザミ、ギシギシ、ナズナなどは、現在は忘れられ野生化しているといえる。
現在収穫量の多いものは、トマト、ホウレンソウ、ダイコン、キュウリ、ナス、ニンジンなどであるが、このうちトマト、ホウレンソウ、キュウリ、ニンジンは、新しく導入された野菜である。

参考文献
青葉高 1991年 『野菜の日本史』 pp.61-66 東京:八坂書房  

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延喜式にも記されており、現在も生産がつづいているダイコン、カブ、サトイモ、ナス、ネギというのは、日本各地に伝統野菜として、その土地独特の品種があるものですね。
ところで、雑草と思っていた「アザミ」(ちょっと葉っぱが丸いような気もするけど…)が青森の朝市で売られているのを見た時は、びっくりしました(写真)。むかしは栽培されていた野菜だったのか。。。(こぼら)

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コメント

  1. 団塊の婆 より:

    今私たちが山菜と呼ぶものがありますが、それらの多くは春の一時期出回ります。
    冬は何を食べたのだろうと思う一方、夏から秋の野菜特に葉物(軟弱野菜というらしい)はどうしていたのでしょう。
    今の私たちには硬くてたべられない、または厭くが強くなっていて…なのですが、昔はそれも食べていたりでしょうか。
    漬物はいつごろからあるのでしょうか…知りたいことばかり…早く24日が来てほしい。

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