シンポジウム『ユニバーサル・ミュージアムの理論と実践』@みんぱく にむけて

一昨日(9/30)はレジュメの〆切日。
さわる展のイベントが一段落したので、ようよう原稿をまとめ広瀬さんの部屋に伺ったら、一人、パソコンに向かって黙々と働いていた。さすがに〆切りの日、続々メールが届くので(来ないのもあるけど)、整理が大変だと青息吐息の状態でした。

このシンポは科学研究費プロジェクト「誰もが楽しめる博物館を創造する実践的研究」の一環として、09年度から、すいはく、みんぱく、信楽陶芸の森、青森の三内丸山、東京でICUの湯浅博物館、美濃加茂ミュージアム、安土考古博など各地のミュージアムで研究集会とワークショップを開催してきました。その成果を公開し、ユニバーサル・ミュージアム(誰もが楽しめる博物館)の理論と実践例を提示することを目標としています。

研究会としてのテーマが新鮮だったのでしょうか、科学研究費としては小規模なものでしたが、会を重ねるにしたがって、熱気を帯びてきて、参加希望者が増え続け、交通費など予算ののやりくりが大変でした(結局は自費参加になりましたが、それでも・・・)。

画像プログラムを見ると、とくにセッションⅠは、実践の報告が中心で、「さわる」という問題提起が、それぞれの博物館に新たな展開をうながしていることがよくわかると思います。

プロジェクトの重点はセッションⅡで議論される「視覚障害者」の問題なのですが、それにとどまらず、これからの博物館のあり方を示すものになっていると思います。そしてセッションⅢでは博物館の哲学が議論されるはずです。

この研究会の科学研究費は本年度までですが、これからさらに発展する可能性を秘めていると考えています。

(カンチョー)

【プログラム】
[第一日] 10月29日(土)
13:00~13:25 趣旨説明「ユニバーサル・ミュージアムとは何か」(広瀬浩二郎)
13:25~14:25 講演「壁を壊せ――縄文人、アボリジニ、そして視覚障害者」(小山修三)
セッションI:「ユニバーサル・ミュージアム研究会の衝撃――各館の視覚障害者対応の現状と課題」
14:40~15:10 「“さわる”力が地域を変える――盲学校・県立美術館・三内丸山遺跡の取り組み」(増子正)
15:10~15:40 「湯浅八郎と民芸品コレクション――さわって味わう展示の魅力」(原礼子)
15:40~16:10 「やきもの、アート、コミュニケーション――触って“みる”こと」(三浦弘子・宮本ルリ子)
16:20~16:50 「人が優しい『市民ミュージアム』――年齢・国籍・障害にこだわらない交流の場として」(藤村俊)
16:50~17:20 「レプリカ展示の意義と限界――“さわる”ことで何がわかるのか」(鈴木康二)
18:00~19:30 レセプション(レストランみんぱく)

[第二日] 10月30日(日)
09:30~10:30 講演「フィーリングワーク入門――触学・触楽・触愕の体験的博物館論」(広瀬浩二郎)
■セッションII:「視覚と触覚の対話――目が見えない人たちの多様な学習方法」

10:40~11:10 「盲学校における社会科教育」(岩崎洋二)
11:10~11:40 「文化、歴史探訪の手がかりとしての“さわる絵画”の可能性――イタリアの取組に学ぶ」(大内進)
11:40~12:10 「さわれないものを理解するための技法――“さわる絵画”“さわる展示パネル”制作の立場から」(柳澤飛鳥)
12:10~12:20 コメント1「触覚でとらえる宇宙――触常者からのアプローチ」(小原二三夫)
12:20~12:30 コメント2「とらえ方と伝え方――見常表現者からのアプローチ」(安芸早穂子)
13:30~14:30 講演「梅棹忠夫の博物館経営論を継承・発展するために――国立民族学博物館とJICA横浜海外移住資料館」(中牧弘允)
■セッションIII:「目に見えない世界を触覚で探る――誰もが楽しめる触察展示の試み」
14:45~15:15 「触れる写真展の挑戦」(真下弥生)
15:15~15:45 「ニューヨークのミュージアムにおける視覚障害者の学びとエデュケーターの役割」(大高幸)
15:45~16:15 「『さわる展示』の回顧と展望」(五月女賢司)
16:25~16:55 「子ども向け暗闇体験イベントの教育的効果」(石川梨絵)
16:55~17:25 「ロビー展『仮面の世界へご招待』がもたらしたもの――さわって学ぶ展示の重要性」(大河内智之)
17:25~17:40 コメント「ハンズオンから手学問へ――博物館の新たな展示手法を求めて」(加藤つむぎ)
17:55~18:10 総括「博物館情報論から考えるユニバーサル・ミュージアム」(及川昭文)

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