吹博への夢想アプローチ

画像22日午後、大阪大学総合学術博物館の創立十周年記念講演会に参加しました。講師はお二人。ひとりは京都大学総合博物館の前館長・中坊徹次先生。「大正時代の京大所蔵標本が導いたクニマス発見」という演題で、京大に90年間保存されていた秋田県田沢湖のクニマス標本が山梨県西湖のクニマス発見につながったという研究過程についての理詰めの熱い講演でした。もうひとりは兵庫県立美術館館長の蓑豊先生。大阪市立美術館の館長時代にフェルメール展を主導し、円形・透明で話題を呼ぶ金沢21世紀美術館の初代館長をつとめた方でもあります。演題は「欧米大学附属美術館」。アメリカやイギリスの大学美術館が学生だけでなく市民にも開かれていて、街の文化を象徴する存在であるのみならず、街を変え、卓越した経済波及効果をもっていることを力説されました。ふたつの講演で博物館・美術館の価値をあらためて再認識させられました。

吹博は今年、創立20周年。春の旧中西家名品展につづき秋のニュータウン展も創立20周年の記念展になろうかと思います。それにあわせて何か記念の企画ができないか、学芸員諸氏といろいろ模索している最中です。

ところで、蓑先生や阪大総合学術博物館長の橋爪節也先生たちと梅田に繰り出して飲み会をしました。談論風発、2次会を含め、さまざまなアイデアが飛び交いました。そのうちのひとつ、蓑先生提唱と聞く「彫像のアプローチ」。ミュージアムを神社仏閣にたとえれば、その参道のしつらえとしての燈籠にあたるものです。吹博は「トンネルを抜けると、そこは吹博だった」という特異な聖域です。それなら、ついでに川端康成の展示をしたらどうかという意見まででました。茨木市の川端康成文学館と連携すれば可能かもしれません。それはともかく、寄進の燈籠には名前を刻んで末代まで残すように、オブジェにも寄進者にとってのメリットが必要だ、などと侃侃諤諤。

夏季展では緑のカーテンがつくられる吹博。木立の生態系もなかなかのものです。ミューズ(学と楽の女神)の鎮座するミュージアム。参道も文学的・芸術的・生態的アプローチがふさわしいようにおもわれますが、ご賛同いただけるかどうか.・・・

(アルプスの少年)

コメント

  1. てつ より:

    すいはくは、本当に特異なロケーションですね 車ではあのトンネル?高架下を抜けないと行けない。どうやってあそこにあんなに立派な建物が建っているのかが一番の不思議です。
    博物館への道 岸辺側からの紫金山公園側にもなんらかの小路にしたいですね(^^)

  2. kiki より:

    すいはくへのアプローチ、ヒトビトと誘い込むポイントだと思います。知ってるから、あのトンネルまで行ける、トンネルを越えたら緑の中に建つおもしろいすいはくに出会えるのに、もったいな~い。アプローチをもっと楽しく、もっとアートにできないかなぁ。いまはなにしろ金網のゲートなんだもの。せっかくの看板がいつもさびしげです。

  3. アルプスの少年 より:

    アプローチ大作戦をみんなでかんがえようかな。

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