秋季展示「一片の瓦からー東アジアにふれる」が10月4日(土)からはじまります。それにむけて、いちはやく大阪城の金の鯱(しゃち)と唐招提寺の鴟尾(しび)が収蔵庫に搬入されました。いずれも原寸大のレプリカですが、鴟尾のほうは約200kgと推定される重量級の資料です。
金の鯱といえば名古屋城のものが有名ですが、大阪城の天守閣にも金の鯱が睨みをきかせているのをご存知でしょうか。もともと秀吉が築造した大坂城には金色に輝く鯱瓦が大天守を飾っていました。平成8年(1996年)に修復されたとき、現在の鯱がつくられました。実物は青銅製の鋳物に金箔を貼り付けたもので、金箔が三度押しで3360枚も使われています。
展示の資料は2010年の上海万博の大阪館でも飾られていました。その記憶があったので、今回の展示会にも大阪城天守閣からお借りすることになりました。一対の鯱は阿吽(オスとメス)の形をしており、借用の資料は口を閉じた吽(メス)のほうです。鯱は火伏の意味があるとともに魔よけでもあります。
上海万博に展示された大阪城の鯱(複製)
同様のことは鴟尾についても言えます。唐招提寺の本物の鴟尾は国宝です。最初に見たのは高校の修学旅行の時でした。「紅顔の美少年」の頃でした。まさかそのレプリカを年老いてお借りすることになるとは夢想だにしませんでした。しかし、古代における魔よけの瓦のイメージはもちつづけました。
唐招提寺の鴟尾(複製)
展示のねらいは瓦をとおしてふれる東アジア世界です。金の鯱と古代の鴟尾がその導入役を果たしてくれることを願っています。追々、瓦の記事を掲載いたします。瓦がモノを言う世界がひらけてくるはずです。ご期待ください。
(アルプスの少年)
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