帝塚山大学附属博物館から借用した一片の瓦―五本指(爪)の黄龍。正式には黄釉(おうゆう)龍文(りゅうもん)軒平瓦(のきひらがわら)といいます。これが本ブログのデザインとなっています。展示場ではおなじ黄釉龍文の軒丸瓦(のきまるがわら)と一緒に並びます。
この龍はただの龍ではありません。五本指で、黄色です。五本指の龍は皇帝のシンボルです。瓦であっても皇帝の建物以外に使用されることは原則、禁止されています。そのため、中国では龍のデザインは皇帝に関するもの以外、指は3本か4本です。ちなみに日本では3本、韓国では4本だそうです。
では黄色い龍は何を意味するのでしょうか。陰陽五行説では東西南北はそれぞれ青、白、赤、黒に配されます。それに動物があてられ、青龍、白虎、朱雀、玄武となります。これが四神です。高松塚古墳の壁画にはこれらの四神(ししん)が描かれています。そして、黄龍は四神の真ん中に陣取ります。五行思想では五色の中央は黄色です。したがって、黄龍は四神の長ともいわれ、中央を守るのが任務です。
陰陽五行思想の五色がなぜこのような配置になるのか、地質学者や土壌学者による興味深い学説があります。詳しくは秋季特別展の『展示図録』にゆずりますが、五色は中国の地質(土壌)と関係があるといいます。すなわち、中央は黄土(こうど)平原を支配する皇帝を意味し、黄龍で象徴されるというわけです。
ちなみに、東の青龍は東シナ海、ないし青色を示す鉄分の多い土壌が想定され、西の白虎は西域の砂漠の砂の色、あるいは石灰質の白色の色とされます。他方、南の朱雀はテラロッサとよばれる赤土であり、玄武岩の語源ともなった北の玄武はモンゴル草原の枯死した有機物で構成される黒色土です。
このように、陰陽五行説には中国の地質学的世界観が潜んでおり、黄龍の瓦片もそうした脈絡で解釈する必要があるようです。
10月4日(土)には13時から開会式と館長・学芸員による展示場案内、それから帝塚山大学附属博物館の清水昭博館長による講演会があります。なお、この日は無料観覧日となっています。
http://www.suita.ed.jp/hak/moy/moy2.html
(アルプスの少年)
コメント
おうゆうりゅうもん のき ひらかわら
ふりがながほしいです。
ルビをふりました。展示キャプションもひらがなをふるようにします。