日本のお宝展示の最高峰、奈良国立博物館の正倉院展へ行ってきました。
開館時間は、9時~18時(金曜のみ19時まで)。平常は9時半からなのに、特別に30分も早く開館するんですね。よ~し、開館と同時に飛び込もうと、がんばって早起きしました。
博物館に、開館30分前に到着。もう券売所は開いていて、入場券を売ってくれます。国立博物館なのに、えらい!
大人一枚1000円也を買って、入場口を探すと・・・
えっえー、すでに200人ぐらい並んでいます。先頭がどこにあるのか見えません。最後尾というプラカードのところで、おとなしく列に加わりました。まわりは、元気いっぱいのシニアが中心。そのうち、わたしの後ろにも続々と並びはじめ、あっという間に列は折り返していきました。いやはや・・・。
15分ほどすると、突然、前に動き始めました。まだ9時前ですが、入場させてくれるらしい。なんと臨機応変に対応してくれるんでしょう!感心しました。
今年注目される出品物の一つは、『国家珍宝帳』という献納目録。全巻広げて展示されていました。前回これが出品された1990(平成2)年、はじめて入館者が20万人を越えたのだそうです(*1)。
十数メートルの巻物に、端正な文字が並んでいるさまは圧巻で、献納物の量と質の高さが、文字からだけでもじゅうぶんに伝わってきます。(あまりにも保存状態がよく、美しいので、一瞬レプリカではないかと思うほど。)そして、最後に「仲麻呂」という歴史の教科書で見たことのある人の名が出てきます。
すごい!よくわかっていない素人に、すごいと言わせるところが、やっぱりスゴイ、本物のお宝ですね。
1949(昭和24)年に開かれた第1回展には、約15万人の来館者があり(*2)、以後毎年、短期間に多くの人をあつめる、奈良の秋を代表する一大イベントになりました。
去年Y新聞社が広報に全面協力にはいり、過去最高の23万人の入館者を記録して(*3)、話題になりましたけれど、実は、その前年の2004(平成16)年は、13万人(*4)でした。日本中の博物館がうらやましがるドル箱展も、かげりがあったことがわかります(それでも1日7800人ほど入っているのですが)。保存の点から考えると、2週間余の展示でも、たいへんなことでしょうし、これだけの来館者があればじゅうぶんではないかと思ってしますけれど、さらなる努力を重ねておられるのですね。
わたしの立場ならば、かつては一生、目にすることはなかっただろうと思うような宝物を、低料金で見ることができる――この幸せが、末永く続きますように・・・ちょっとぐらい混んでいてもガマンします。でも、やっぱり、疲れたなぁ。
注
*1 文部科学省HP公表資料・白書 文部省第118年報(平成2年度)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaf199001/hpaf199001_3_270.html
*2 奈良国立博物館HP 歴史 http://www.narahaku.go.jp/greeting/history.htm
*3 独立行政法人国立博物館HP(http://www.natmus.jp/hyoka/index.html)に掲載の平成17年度事業報告書2005_01[1].pdf、および『読売新聞』2005年11月14日
*4 国立博物館の平成16年度活動実績
www.kisei-kaikaku.go.jp/minutes/wg/2005/0808/item050808_05-02.pdf
第58回正倉院展・奈良国立博物館のHPはこちら。
http://www.narahaku.go.jp/exhib/2006toku/shosoin/shosoin-1.htm
混雑状況のご案内というページもあります。
http://www.narahaku.go.jp/exhib/2006toku/shosoin/shosoin-konzatsu.htm
(こぼら)
コメント
「最後尾」と書いたプラカードの係員は「ご入場まで1時間です」という。でも見たい。こちらであくびしながら並んでいると、「読売旅行社」の旗をひらめかせた軍団が、一般入場者を尻目に、せっせせっせと入場していくのである。主催が朝日から読売新聞に変わり、力の入れようが違うのか。風が強く砂塵が舞い上がる中を行列、展示物は紅色の象牙のものさししか印象に残っていない。とにかく人いきれに疲れた。
奈良国立博物館は、今年の正倉院展の入館者数を、20日間で計28万3515人だったと発表したそうです。もちろん史上最高でした。1日あたり1万4175人、出展された宝物は68コ。