筍(たけのこ)と逆上(のぼ)せ -東洋医学の視点-

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竹は清清しい植物である。暑い夏の日、竹林に入ると縦に並ぶ群れ。青竹の緑はまばゆい。まして笹と葉がゆれ一陣の風が一頻(ひとしき)り吹けば、結ぼれる心の緒(お)も解けるというものだ。

日本人と竹との関わりは深い。「破竹」の勢い・・・人々のいさぎよい勢いをたとえる場合によく使われた。よい例とは言えないが、かつての真珠湾攻撃の攻勢をたとえる場合によく使われた。また「松竹梅」すべて「寒冷」に耐えるものの一つとして「竹」が取り上げられ、結果として「慶事」に用いられる。

「竹」はイネ科タケ亜科の多年生常緑木本の総称。タケ群とササ群に大別(広辞苑)。若芽の根っこの部分が肥大し、今これより伸びんとするのが、食用になる竹の子。朝掘りのものは水分を多く含み美味となる。

この竹の子も先端部分の柔らかいところばかり食すると「逆上せる」ことが多く、困らせる。ところが、逆に、太い根っこの部分ばかりを食べていると「逆上せる」ことはない。何故だろうか。
陰陽で言えば、植物の根と枝葉の問題として捉える。つまり、「向日性」と「背日性」の問題だ。植物の枝葉が太陽に向かう「向日性」は、「陽気」を受け(陰が陽を求める作用)、根っこは陰水を求め「陽が陰を求める作用」、この二つが総合し「光合成」をなす。
よって、陰の極みの先端部分は「陰きわまって陽となる」、つまり陽の働きの上昇・発散の働きを持つ。したがって、柔らかく美味しい先端部分のみを食すれば「逆上せる」のだ。
(筍医者 鍼狂人 藤本伝四郎蓮風)

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カンチョーは、かつてアボリジニの村で病気になってムラの呪術師?に煙で燻されて病気を治療されて以来、民族医療に興味を持っています。その研究仲間である東洋医学の専門家、藤本漢祥院の藤本蓮風先生に、タケと東洋医学について、ご寄稿いただきました。

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