2009年の特別展示を振り返り、将来の課題を考えました。
1.
1月は、2008年12月にはじまった特別企画「むかしのくらしと学校」展の最中から始まりました。これは、団体で来る小学3年生を対象としたもので1月末から2月がいそがしい。吹田だけでなく近隣の町からもやってきます。この展示にかける近年のボランティアの活躍はめざましく、展示の説明だけでなく、企画やイベントにも参画して内容を深め好評です。
課題の1つは交通問題です。博物館まで遠い小学校はバスをチャーターしてやって来ていますが、これに対し、市のバスを出すとか、費用を補助する、などの方法がないかと考えています。もっとも、交通の不便さは、一般の人からもよく聞くきくものです。
つぎに、展示の内容について。展示は3年生の副読本に対応しているのですが、たとえば、今のじいさん、ばあさんたちは、ニュータウン育ち、サラリーマンというケースが多いことからわかるように、常設展のものは明治時代的で、実経験がないのです。今、教育委員会では副読本の書きかえをすすめているそうですが、それが完成すると、全面的な組み替えをすることを考えなければならないとおもいます。
2.
4月から8月にかけて、「吹田いま・むかし 一町5村のアーカイブ展」を行いました。これは「新しい吹田文化の創造と、郷土愛を育てたい」という市長の言葉を実現するための第一歩目でした。展示を3期に分け、はじめに「吹田、岸部」、つぎに「山田、千里、豊津、新田」地域をとりあげました。参加型の祭りや踊りなどのイベントに人が集まりましたが、もっと地域の声を明瞭に表現できないかと思いました。
最後の「吹田の自然物語」は、すいはくとして、はじめて自然と真正面からとり組みましたが、子どもたちが大勢来たのでよろこんでいます。吹田では自然や環境にたいする市民活動がさかんですが、その厖大な記録の集積と活用の役目は、将来きっと博物館が担うことことになるでしょう。
3.
9月は、「さわる展示ー五感の挑戦」。実験展示としてもう4回目になります。入館者数は少ないのですが、企画としては全国的な注目をあつめています。視覚障害者だけではなく、養護施設等の反応が大きかったことも、心強かったです。この展示のアドバイザーは、ミンパクの広瀬准教授ですが、さらに大きくのばすことをめざして、文部科学省に申請したところ、今年から、3年間にわたって研究費をいただけることになりました。そのため土器づくりや、香道のイベントを行うことができました。1月には青森県の三内丸山遺跡、3月には国際基督教大学での研究会を行いますが、その成果はこれからの展示にあらわれるはずです。障害者を助けるのではなく、障害者から学ぶような展示を目ざしています。
4.
10月~11月は「北摂の戦国時代」展でした。これは従来型、つまり市民が参加しない学芸員による企画で、予算は比較的潤沢です。さらに、今回は文化庁から、地域博物館の連携ということで助成金をいただき、高槻市立しろあと歴史館をはじめとして近隣の市から協力をえました。
オープニングの日には稲富流古式砲術実演があり、大きな音におどろいて駆けつけた人も多かったようです。しかし、全体としては入館者数がすくなく、従来型のあり方の限界を感じました。
5.
将来への展望:来年からは、不景気の影響で人員や予算が削減されそうです。この苦難の時にたいしては、博物館が自らおもいきった事業仕分けをおこない、冗費をけずり、効率的運営に努めなければなりません。さらには、現代の趨勢である「指定管理者制度」になればどうなるか、のシミュレーションまで行う必要があるとおもいます。すいはくでは最近市民企画の展示が増え、それが集客の原動力となっいてます。文化を守るのは市民であるという時代になっているのです。
(カンチョー)
※写真は大晦日今晩の満月。大晦日が満月って、珍しい!未明には「日本史上初」元日の部分月食があります。この写真は「ツキに振り回された2009年でした」というイメージ写真というか、駄洒落です! (okkun)
コメント
広瀬準教授の「準」は「准」です。つい昔の職業のくせが出て、失礼。
本文訂正しました~。