飛騨ミュージアムに行っていた頃、小学校の先生と話していたら「現代アートはこどもにさわらせて遊ばせれば、いいイベントができるのですがねー」 といわれ、ハッとした。そのときやっていた現代アート展が不入りで頭を痛めていたからだ。
先日、金沢21世紀美術館に行ったとき、市民ギャラリーで、金沢美術工芸大の卒業制作展をやっていた。会場にいると、セザンヌ、ダリ、ピカソ、若冲、ミニマリズムやコンピューターアートまで、実にさまざまの時代相というか、影響をうけた絵や彫刻が並んでいたが、もし彼らがこれからアーティ ストとして食っていこうとするならずいぶん苦労するとおもう。
広瀬さんの科研の中間報告会が3月12~13日、みのかも文化の森・美濃加茂市民ミュージアムであり、そのときの話題に、さわるーさわれる展示のあり方をいろいろ考えていたところだったので、会場で生徒たちをつかまえて聞いてみた。
「さわっていいものがありますか?」
「え・・・?ちょっと聞いてきまーす、・・・あの赤いのは中に座ってくださいと書いてあります。それと、その横の貝のような小品群はいいそうで す」
「あとはだめ?あの着物なんかいいなー、もともと着るもんでしょ?」
「ゲージュツだから・・・」
「この彫刻もいいなー。売れなければ、こんな大きなのどこにしまっておくの?下宿はせまいでしょ。捨ててしまうんなら、ほしいなー」
アキレたのか答えがなかった。赤い漆を塗った口のあいた卵のような作品は福山琴巳さんの「Mental Shelter」、H110、D160cm。写真を撮らせてくださいといったら、ゆったり寝転がるようなポーズをとってくれた。広瀬さんが入るとどんなコメントをするだろうか。
「芸術作品ー美術館」とセットになると、どうしても、さわっちゃダメと言う事になってしまう。工芸はもともと身の回りの品を作るものだったし、彫 刻でもブロンズはキャストするのだからどこかに原型があるはずだ。ハノイの美術館で、ベトコン兵の腹射している像はみんながいとほしげにさわるの で、つるつるに光っていたのをおもいだす。
いちど、理解ある芸大の先生に会って、アートとさわる、学生と視覚障害者のコラボなどについて話し合ってみたいと思う。
(カンチョー)
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