館長ノート ピンチヒッター編

館長から「館長ノート」のピンチヒッターを命じられ、登板することになりました。(宮仕はつらい

ふるさと意識
千里ニュータウンはご承知のように、吹田市の山田、佐井寺、春日(下新田)、豊中市上新田等の旧の村落社会の田、畑、山に巨大な新しい住宅地が出現し、在来の人たちとは生活スタイルが異なる人たちの新しい町が誕生しました。
そこでは、ふるさと意識を醸成する様々な行事、イベントがなされ、現在に続いています。そこには、人々が賃貸という流動性が高い住宅とはちがう、永住を前提とした生活の場と意識していたことがうかがえるようです。
行事を構成する要素で見逃せないのが、伝統的な祭りの要素を取り入れていることです。新しい生活スタイルを持って暮らしながらも、行事には盆踊りやトンド、餅つきがあり、20周年には山車も出され、地域のアイデンティティを示す「千里音頭」も作られました。その源は、入居前に各自が体験してきたふるさとを具現化させるものが、祭りであったことが予想できますが、祭りの要素はあっても、そこには伝統的なムラ社会のような神仏は存在しません。

神仏はないのか?
千里ニュータウンには、旧村のようにおきまりの神社、寺院はありません。それでもHさん等の調査によると、地蔵が9個所で祀られています。また、開発前から古江の人たちが祀っていた古江稲荷には何らかの形でニュータウンの人たちも関わっているようです。
旧村である山田の伊射奈岐神社に電話で聞いてみたところ、初詣はニュータウンからも多くお詣りにこられるようです。宮参り、七五三にお詣りに来られる人は、現在は山田西、樫切山、五月が丘などの山田近辺の新興住宅地の人たちが圧倒的に多いのですが、これらの地域が開発される20年程前までは、ニュータウンからのお詣りが多かったそうです。このあたりにも高齢化の影響がうかがえるようです。
それはともかく、神仏を求める心はどこかにあるようで、在来地域との交流の一つの姿ともいえると思うのです。
(F学芸員)

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