館長ノート 13

女の世界、そして男

女性の役割のうち最も重要なのは子供を産むこと、こんなことを言うと上野千鶴子先生にトビゲリをくらいそうだが、人間も動物だと見なせばまぎれもない事実。たいていのことは男で代用がきるが、これだけはできません。
最近、社会学や文化人類学など、学者だけの専門用語だったジェンダーという言葉(性差と訳すか、男女共同参画とまわりもった言い方している)が公用語になって、青いドレスの大臣が少子化対策にとり組んでいますが、問題の基本がそこにあるからです。

日本(だけじゃないけど)はたしかに男尊女卑の社会で、伝統的に生活活動の重圧はほとんど女性にかかっていました(最近はずいぶんよくなったような気がしますが)。しかし、それ故に、日常生活の主導権は女性が握っていたともいえるでしょう。育児からはじまる教育(最近は入社式まで?)、食事、服装などなど。
ところが、女性たちは、実質だけでなく、オシャレや遊び心などの「花」をつけ加え、育んできたのです。
私がアドバイザーをやっている、高山市の飛騨世界生活文化センターで、今年(2005年)「飛騨の青春ー姉さまたちの132年」という特別企画展を開催しました。野麦峠を越えて糸引きに行った女性たちのつましいものになるだろうと思ったのですが、女性スタッフと主婦が中心となり、現代をも視野に入れて考えたために、化粧、髪型、アクセサリー、晴れ着、制服などの部分が実に華やかになったので驚きました。千里NT展でもきっとそうなるでしょう。

そして男
それにしても子どもや女と比べて、男の世界は貧しい。
駅の売店にはスポーツ新聞が山とおいてあります(特に阪神が勝ったときには)。通勤のサラリーマンが買っていくのですが、その内容たるや、野球、サッカー、相撲、そしてプロレス格闘技といったスポーツのほかは、競馬、競輪、モーターボート、パチンコなどのギャンブル系、風俗系の広告をふくめたポルノや芸能界ゴシップ。
こういった要素は、千里ニュータウンからは見事に排除されています。野球でさえ、子どもにテレビのチャンネル権を奪われて見ることもままならないのですから。主導権を握っているのは女性で、いみじくも、ベッドタウンと呼ばれたように、男たちはただ寝るために帰っていたのではないのでしょうか。

 

コメント

  1. 聞き書き より:

    女の子の遊びといえば、着せ替え人形。70代の女性は、1枚の紙に印刷してあったものを切りとって遊んだ。また、キューピーさんに衣装をきせたこともあるそうです。40代になると、人形はリカちゃん。紙の着せ替え人形は、雑誌の「付録」にあったけれど、それで遊んだ記憶はうすいそうです。

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