吹田市立博物館 館長・小山修三氏
吹田市立博物館 学芸員・藤井裕之氏
聞き手/お風呂アドバイザー・おかきた’まり
足湯トークショー
世界のお風呂・お風呂の歴史 ~お風呂の民族学について話そう~
博物館をとび出して、阪急南千里駅前・ガーデンモール南千里「ほっとスパ」で開催する足湯トークショー。最終回は、世界のお風呂・お風呂の歴史の話からお風呂の民族学についておしゃべりしました!
まず、世界のお風呂はどうなってるの?…という素朴な疑問からスタート!世界的にみると、温帯から寒帯にかけて、サウナのような蒸気浴が広く利用されているそうです。昔は、水や燃料の確保がタイヘンだったので、少しの燃料で汗を流せる蒸気浴が定着。熱い石に水をかけて蒸気を出す方法が世界中でみられます。
日本でも、昔は蒸気浴がほとんど。今でも四国の伊予地方では、岩の中に入る蒸気浴が残されているとか。湯をためてつかるようになるのは、かなり時代が下がり江戸時代から。それでも湯量は少なくて、明治の始めにやっと、肩までつかれる銭湯ができてきました。
高温のお湯につかりこむ日本の入浴スタイルは珍しく、たぶん日本だけではないかとのこと。日本人がお湯につかるのが好きな理由としては、、神事の禊(みそぎ)や清めとのかかわりが指摘されました。水をつかいカラダを洗うことで、けがれをぬぐうという風習は、日本各地でみられるとのこと。なんと藤井学芸員から、昭和30年~40年ころまでの伊勢志摩半島では、暮れに家族がそろって裸で海に入る風習が残されていたと、発言が!つづいて館長からは、カナダで見た清めのサウナの話もとびだしました。
そして仏教が、日本人の価値観や基盤になる物事を伝えましたが、入浴もその一つだろうとのこと。寺院は、施浴(浴を施す)として庶民に入浴を広めました。清めとともに、カラダを清潔にすることで健康促進にもつなげる、温浴を大事にする日本人の入浴スタイルが確立されていきます。
お湯につかりたい願望には、温泉に恵まれた影響もあるだろうとのこと。日本各地にサル・シカ・クマなどが登場する温泉伝説が残り、湯治の習慣が根づきました。温泉に入るとカラダに良さそうだという思いが、高温のお湯につかる入浴への願望につながったのではないでしょうか。
一家がハダカで海へ…過激なエピソードから混浴に話が広がり、館長からハダカをみせることを恥じるのは、ピューリタニズムの影響とのお話が。アボリジニも衣服をまとうようになるなど、この傾向は世界中でみられ、世界のグローバル化はこんなところにも及んでいるとのこと。
現代日本のお風呂は、岩盤浴やミストサウナなどの蒸気浴に近いタイプが復活し、女性を中心に流行。お客様からも韓国のヨモギ蒸し体験のお話がでました。読書しながら、あるいは、音楽をききながらとナガラ入浴ができたり、つかりこむより楽に汗が流せるタイプの新しい蒸気浴は、これからもっと人気がでるのではないでしょうか。
吹田市立博物館「千里ニュータウン展」のイベントとして開催した足湯トークショー、全5回も、これにて終了いたしました!常連さんになって通ってくださったお客様もいて、嬉しいかぎり。ほんとうに、ありがとうございました!
あわせて、ご協力いただいた各企業さんに、感謝いたします!!
●ガーデンモール南千里「ほっとスパ」さん
●近畿コカコーラボトラーズ社さん
●クロバーコーポレーション社さん
(広報@おかちゃん&おかきた’まり)
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