小学生のセミの標本
これは、千里ニュータウンT台在住だった少年が、小学校5年生の夏休み(1972年)につくった標本です。主にセミをあつめ、各種類の雌雄の個体をそろえようとがんばったようです。当時はアブラゼミとツクツクボウシが多く、クマゼミは比較的めずらしかったと思います。カブトムシはなかなか捕れず、六甲まで行っています。
昭和40年代は、3C(カー、クーラー、カラーテレビ)があこがれの時代だったので、クーラーはやっと1軒に1台あるかどうかでした。だから、体感的には今よりずっと暑い夏を過ごしていたはずですが、子どもたちは元気いっぱいでした。
この標本制作者の少年は、夏休みの朝、ミーンという声がするなり、やりかけの宿題を放っぽりだして、網と虫かごを持って、家を飛び出すのです。ほぼ同時に、隣の2才下の男の子も飛び出てきます。毎日、こんな調子で、昼ご飯にちらっと帰ってくるだけで、また出かけてゆき、夕暮れまで帰ってきませんでした。
セミを追って遊びほうけても、それほど叱られもせず成長し、いちおう立派な?オジサンになることができた時代でした(のちに、社会人になりたての頃「新人類」と揶揄された世代ですが)。自然環境だけでなく、少年をとりまく社会環境も語ってくれる遺物です。
(by きんこたん)
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