環境問題を見据えて将来をかんがえる展示をすいはくでもやるべきだと前回述べた。しかし、これはけっこう難しい問題をはらんでいる。昨年の夏行ったウイーンの子ども博物館では、真正面からこの問題をとりあげていた。太陽や風を利用した電力をつかい灯りを付けたり、電池で動かす三輪車にのせたり、おもちゃのレース・カーを走らせたり、ごみ選別機を作って実際に処理してみるのもあった(これは団体でやってきたとき用のものだそうだ)。
しかし、展示の主旨であるらしい、フード・マイレッジの部は、野菜、果物、穀物、肉、乳製品などを食べるまでに、移動の距離をふくめ、どれだけのエネルギーを要するかをしめすものだったが、絵と文字の平面的な説明に終わって子どもが寄りついていなかった。
これだけでは弱いのはわかったのだろう、外のテラスに大きな粘土の山を置いて、お城や動物など作ったりどろんこで遊べる場があり、芝生の向こうですぐシャワーが浴びられるようになっていた。まあこれもエコロジーか。子どものためであるせいか、全体が体験型になっている。試行錯誤をかさねながら、こどもたちにメッセージをという思いが伝わってきた。
この問題は、環境観や消費のあり方、食習慣が国ごとに違う(日本で食料輸入をやめ、機械類の輸出がなくなるとどうなるか)ので、理想論にながれないよう、しっかりした視点が必要であろう。そのためには、その地で生活を送る人々の視点が是非とも必要である。 すいはくでやろうとすれば?専門的な知識と関心を持った学芸員、ゴミ問題や環境問題をあつかっている市役所の部門の協力が欠かせない。そんな展覧会ができる日がはやく来ればいいのだが。
(カンチョー)
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