吹田市の自然物語 関連イベント 河合雅雄先生講演会

オオムラサキの幼虫をいただいた丹波の森公苑から河合雅雄先生に来ていただきました。
講演会のタイトルは「野生動物の反乱」

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野生動物とヒトとの付き合いかたについてのお話でした。
19世紀(=明治33年が1900年)までの日本では一種の生物も絶滅させていなかった。しかし近代化の名のもとに明治中期から一転して(ニホンオオカミ、エゾオオカミ、カワウソ、トキ、コウノトリなど)多くの動物が絶滅した。

一方、昨今、全国的に野生動物(イノシシ、シカ、サル、クマ、アライグマ・・・などの)の被害が増大している。
しかし被害を受けているのは人間だけではなく、それらの動物も受けているのだ。
どうしてこのような不幸な関係になってしまったのか。そしてその打開策はあるのか?

1)薪炭林としての里山が使われなくなった。里山にヒトが入らなくなった。
2)戦後の改変で林野庁が独立採算制になった。山の木を皆伐してその後に一斉植林するのだが、皆伐直後には草原となるのでシカやカモシカは大喜びだった。さらに野生生物の保護という思想が浸透してますますシカたちは増えていった。昭和30年代から外材の輸入自由化がはじまった。これで林業が成り立たなくなった。このため植林された山は間伐も行われず(下草もなくなり)動物が生活できる場所ではなくなった。
時を同じくして里山にヒトがいなくなったので、本来、奥山にいた動物は里山に出入するようになり、里山にいた動物は里に現われるようになった。ヒトを恐れなくなってきている。

これら1)里山が崩壊し、2)植林と動物保護思想 3)農村構造の変化、機械化と農薬が進歩して、農繁期以外には田んぼからもヒトの姿が消えた。4)そして野生動物が人里に出てくるようになったのだ。
決して山の食料が不作だからという理由だけではないのだ。

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日本政府はワイルドライフ・マネジメント(WLM)行政が決定的に貧困なのだ。世界的に最貧国といわれるエチオピアの政策にも劣る。
  (ワイルドライフ=野生生物・マネジメント=管理)
野生動物の管理はは猟友会(りょうゆうかい)にお任せしている現状で、その猟友会も高齢化して、山の中を走り回るには体力が・・・
本来環境省の仕事なのだが、(~地方分権の名目で~)「WLMは地方に任せる」として都道府県に権限を委譲し、さらに市町村が管理するシステムになっている。全国の市町村にWLMができる職員を配置できるはずがない。
今後、国レベルでWLMをおこなう部署を設けないと、この野生動物の反乱は治まらないだろう。

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恒例のカンチョー乱入では、カンチョーが「取ったシカをどうします?」の問いに河合先生は
「丹波ではシカ肉を食べる、などシカを利用すること=シカ産業が考えられている」とポケットからシカ皮の財布を出して見せてくださいました。
「シカ肉は夏がもっとも美味しくて、晩秋がもっともまずい。狩猟解禁は11月15日なので、われわれはもっともまずいシカ肉を食べていたことになる」ともお話になりました。
会場から「(米国国立公園で実験が始まった)オオカミの導入はありうるか」という質問があり、河合先生は「当面は人間がオオカミの役割をしていくのがいい」とお答えになりました。
(おーぼら)

コメント

  1. akakage より:

    こちら飛騨では、トウモロコシやイモ・カボチャなど、ちょうど取り頃になるとサルやイノシシにやられてしまいます。近所の畑ではいろんな被害の話を聞きますが、なぜかわが家はやられません。細々した収穫で、サルに相手にされていないようです。
    ところで、日食イベント大盛況おめでとうございます。飛騨でも偶然の晴れ間と休み時間とがちょうど重なり、観察することができました。okkun様はおつかれ様でした。集中豪雨被害のニュースが流れていますが、何事もなくてよかったです。

  2. okkun より:

    akakageさん、おひさしぶりです。日食は皆既で見たかったナ~と無念は残りますが、千里NT展以来最多の…ということはつまり「すいはく」史上最多の?500人もの人と見上げる日食も、なかなか良かったです。雲間のチラリズムがまた羨望をそそってヨイ!と、おじさんたちは言ってました。大阪は前半カラ梅雨だったのに、最近じゃんじゃん降って気がついたら7月も末…という今年の夏です。

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