カンチョーの出前講座:「越境する人びと―オセアニアの人びとから学ぶ」

カンチョーといっても、このたび2009年4月、16年ぶりに「みんぱく」 (国立民族学博物館)に館長として戻られた須藤健一館長です。

館長は昨夜9月18日、浜屋敷の出前講座「みんぱく夜話」に来られ、ご自分の長年の研究テーマであるオセアニア、ポリネシアの中のトンガ王国について講演してくださいました。講演のタイトルは「越境する人びと」でしたが、カンチョー自身が越境して来られました。

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 トンガ王国は王族、貴族、平民という身分階層性のもと、ツポウⅤ世を元首とする人口10万人の立憲君主国家で、日本より早く1875年(明治8年)に近代憲法を制定し、1970年にイギリス保護領から独立しました。このようにトンガ王国が植民地にならなかったのは、ハワイなど近隣の諸島が大国の植民地になっていくことに危機感を持って早々と近代憲法を制定したおかげとのことです。ちなみに明治憲法(大日本帝国憲法)はトンガ王国に遅れること14年、1889年(明治22年)2月に発布されています。

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ポリネシア地域では1970年代からマス・エグゾダスと言って大量出国の現象があります。これは環太平洋先進国の産業発展と移民受け入れ政策によるところが大きいのですが、島の人びとの生活水準の向上を求める主体的な選択でもあります。

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トンガ王国は本国に10万2千人対し、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカなどの外国に10万6千人と過半数が外国で生活し、本国に(物資やお金を)仕送りして国民経済を支えています。
クック諸島では本国1万8千人に対し外国では7万2千人が暮らしています。
サモアは本国21万4千人、外国30万4千人ということです。
この点から見て、日本には移民法というものがない、極めて特異な先進国ということができます。・・・・と話はつづいていきました・・・(おーぼら)

コメント

  1. ばあばら より:

    吹田の北から吹田の南の端に越境してくださった
    須藤館長に感謝です。
    先進国で唯一移民法がない国日本
    参加者みんなでうめいてしまいました。

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