岩槻先生のお話の中で「絶滅危惧種」の部分をもう少し報告します。
(本編はこちら)
1992年から2007年までの15年間を振り返ると、調査が進むとともに全体として絶滅危惧種の数は増えている。しかし少なくとも何らかのアクションをとった種に関しては危惧のレベルがさがるとか、絶滅危惧種ではなくなるとかの改善がみられている。全体として生物多様性は改善されていないので2004年からは「生態系サービス」という概念が導入された。生態系は人類の生活に役立っているという考えである。
話はすこしさかのぼります。
日本の絶滅危惧種では植物が圧倒的に先行しているので84~86年に「日本で植物のレッドデータブックをまとめる」と約束したとき、欧米の研究者たちから「日本はひじょうに多くの植物があるのに専門の学者は少ない国だ。3年でまとめるなんてできっこない」と嘲笑された。しかし約束の3年で仕上げ89年に印刷されたものを見てその精度の良さに欧米の研究者は驚いた。
どうして日本では欧米の研究者の予想を裏切って見事な報告書(レッドデータブック)ができたのか。それは「日本だからできた」といえる。専門家の数は確かに少ないのだが、日本は津々浦々に地域の動物・植物に詳しい人がたくさんいる国なのだ。それらの人をアマチュアと呼ぶことがあるが、それは誤った表現だ。専門家より能力の高い人も見受けられる。したがって彼らをノンプロフェッショナル・ナチュラリストと私は呼んでる。
日本ではノンプロフェッショナル・ナチュラリストの層が非常に厚い。89年のレッドデータブックは日本自然保護協会とWWFjapanという二つのNGOが協力し、日本植物分類学会がノンプロフェッショナル・ナチュラリストとコラボして作ったものだ。そうして欧米の研究者も一目置くような成果が出たのだった。89年版はNGO版といわれた。
第二部では吹田で活躍するノンプロフェッショナル・ナチュラリストの二人の代表が各々の立場から報告しました。
【報告】大阪の野鳥からみた生物多様性 平 軍二(日本野鳥の会大阪支部長)
【報告】吹田市の生物多様性の変化 高畠 耕一郎(吹田自然観察会 事務局長)
(おーぼら)
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