学芸員実習-「展示解説」を体験して

先日、学芸員実習の締めくくりとして、自分たちが作った特別展示の解説員をしました。

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私が担当したのは昭和30年代の家電を中心としたコーナーです。一般の方相手ですから、わかりやすくキチンと解説しなければ!と事前予習もしてきましたが、いざ解説を始めてみると私の方が勉強になっていました。

今回来館された方々は年配の方が中心で、まさに展示している電化製品を使っていた方々です。実際に当時暮らしていて使っていた人たちですから、インターネットや本で得た付け焼刃の知識ではかなうはずもありません。
NHKの本格放送が始まったのは昭和28年、私が10歳の時だったとか、
扇風機の静かなプロペラの技術は潜水艦のプロペラの技術だとか、
電気こたつはお父さん専用で、お父さんがいない日や風邪のときだけ使わせてもらったとか、
初任給は一万円程度で、テレビも給料5か月、カメラは6カ月分で大事に使ったとか。
「懐かしい」という言葉と共に思い出と知識を沢山教えていただきました。

お話を聞いて思った事は、やはりただの知識はただの知識だという事。例えば電気こたつは寒い綿の布団で眠っていた当時は非常にありがたいものだったというお話を聞き、羽毛布団で想像していた以上に画期的な発明だったのだと改めて思いました。電気釜や洗濯機、冷蔵庫も私たちの想像以上に当時の人たちから見たら大革命だったのかもしれません。

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時が変われば、生活が変わり、暮らしている私たちの見る世界も変わります。
それでも、こうして話をする事で当時見ていた世界を追体験できたような気がしました。
今回の展示の趣旨に過去を見て未来を考えるという部分を、私自身が感じる事ができ、非常に楽しい一日でした。

(岩崎久実)

コメント

  1. カンチョー より:

    展示の企画は、個人や小グループで考えるのではなく、世代差、地域差による反応をよく観察して理解すること、いわば観覧者との対話が重要であることがわかってよかったとおもいます。

  2. okkun より:

    近過去の展示解説は観客に「生き証人」がいっぱいいますからやりにくかったことでしょう。自分の調べたこととお客さんの言ってることが食い違ってるときは、「それは(お客さんが)違います」と説得してもいけないし、「間違えましたすみません」と謝ってもいけないのです。お客さんのほうも思い込みや勘違いがないとは言い切れないからです。地方によって状況が違ったり、正解が複数あることもありえます。本やネットに書いてあることもけっこういい加減だったりします。よく話を聞いて「調べておきます」と言うのがいいんでしょうね。この企画は面白いから来年以降もまたやってほしいなあ。学芸員の皆さんが張り切ってるのもみどころです。

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