災害と文化財

画像本年秋の特別展は「災害から地域遺産をみなおす~吉志部神社の復興~」、10月9日(日)からはじまります。展示や講演会、イベントなどの大枠が決まり、細部の詰めをすすめているところです。(博物館HP参照)

わたしたちは時間の流れにそって動いています。振り返えれば、人類の何万年という歩みの跡がみえるはずです。なかでも、人が作ったモノや建物は、目に見える確かな証拠として過去の社会の構造や人々の行動を知る手がかりとなるので「文化財」として大切に守られています。それでも、腐敗や虫食いによって崩壊したり、地震や火事などの災害によって、消滅してしまうこともよくおこるのです。ところが、その不幸を奇貨として、それまで隠されていた情報を発見したり、修理・復元のための新しい技術が開発されることがあるのです。法隆寺金堂の火災やバーミヤンの石像の爆破(まだ調査はおこなわれていないようですが)はその好い例でしょう。

吹田市岸部地区にある吉志部神社の本殿は、今からちょうど400年前の慶長15年に建てられたもので国重要文化財に指定されていました。しかし、平成20年5月に放火による火災によって焼失しました。その後、焼材や発掘による調査がおこなわれ、さらに古い社殿があったことをはじめとする、これまで知られていなかった多くの事実がつぎつぎと明らかにされています。
本展示では、文化財の保護技術と知識が災害にどのように対処しているかをとりあげました。講演やワークショップでは、実際例として阪神大震災後の対応ががとりあげられますます。ほかに吹田東消防所による防災のためのイベントも計画しています。

吉志部神社本殿の再興は、氏子さんたちをはじめとする関係者の熱意と努力によって着々と進められており、来年2月には完成するそうです。文化財調査による新しい知見をいかし、それが地域の活性化につながることを願っています。

(カンチョー)

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