熱烈歓迎!(須磨ニュータウン展・後日談)

2月に神戸の須磨ニュータウンであった「須磨ニュータウン展」ニュータウンマニアのokkun西神ニュータウン研究会の人に教えられて「これは千里ニュータウン展の再来か…?」と行ってみたところ、入口に展示してあった「リカちゃん人形を使った団地室内模型」のあまりの出来ばえにびっくりし、ご報告したのがこのブログ記事…。このブログを、模型を作った神戸女子大学の学生さんが目にして熱烈なコメントの嵐となりました。…というところまではこのブログを丹念にお読みの方はご存じかもしれません。

その後、やりとりはメールベースになり、「こんなによくできた模型や絵本、1週間の展示だけで終わらせるのもったいないですよ!」と率直な感想を書いて送ったら、なんだかすごく励まされちゃったみたいで(「須磨ニュータウン展」は1週間で終わったあとも)模型はバージョンアップするわ立体模型は作るわ…。指導をされた梶木典子先生から「ぜひ一度お越しください」とご招待をいただき、行ってきました!神戸女子大学。須磨ニュータウンは高倉台の横の丘の上にある素敵なキャンパスです。(カンチョーも誘ったのですがガラにもなく急に恥ずかしくなったのかお休み…「千里・住まいの学校」不良中年さんと2人で行きました)

阪神高速の月見山出口がその時間に限って閉まっていて名谷まで行ってしまい、30分も遅れて教室に入っていくと…なんと黒板いっぱいに「熱烈歓迎!」のメッセージと絵が!

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一番右が梶木先生。その隣の土曜日なのにスーツ姿の2人が、この須磨ニュータウン展を企画した神戸市須磨区まちづくり推進部まちづくり課の中田さんと遠藤さん。画面中央左のオレンジのシャツを着たおじさんがボルネオからの留学生です。住環境を専門とされる梶木先生に、須磨区から「ニュータウン展」への協力要請があり、3年生後期の授業『地域生活演習』の題材として、この展示計画が進められました。

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これ、これ!すごいでしょ~?縮尺は100分の15。設定は1973年。高倉台の入居が始まったころ。千里ニュータウンではみんながトイレットペーパー買いだめしてた年です。学生と梶木先生はみんな平成生まれ。生まれる前のファッションや室内、どうやってこんなに調べたんだろう…?とただ感心するのみでしたが、やっぱり最初はわからなかったそうです。あったのは公団の図面と若干のパンフレットだけ…。そこは当時からお住まいの団地住民の方にインタビューしたり、改装していないお宅に伺ってインテリアを埋めていったとのこと。人形の服も当時のファッション風の特製です!この模型は2/12のブログにも出ていますがよ~く比べてみてください。「進化」しているのがわかるはず…。ちなみにこの冷蔵庫の色は「アボガド・グリーン」というのだと教えてあげたら皆さん「おおー!」とすっごい感激してくださいました。制作期間は約2ヵ月。「須磨ニュータウン展」で展示して、1973年当時にしてはちょっと大きすぎるとか、スルドイご指摘も住民の皆さんからいただいたそうですよ!畳敷きの和室に学習机やベッドを置いて洋室風に使うのは当時多くの家でやっていたことで、椅子を引く部分だけ畳がはげるから小さなカーペットを敷いていた…と言ったらさっそくメモしていました。押入れの天袋のダンボールにマジックで「リカの夏服」と書いてあったり、とにかく芸が細かい!キティちゃんはほんとは1974年登場なので、ちょっと考証的には合わない。しかしそんなことを探っていくのもまた楽しい作業です。

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廊下の電話台。電話帳まで作り込んであります。このダイアル式の黒電話も「須磨ニュータウン展」のときにはダイアル部分が0で始まって9で終わっていたので「1で始まって0で終わるのが正しい」と教えてあげたらちゃんと直してありました。(いかにもデジタル世代らしい間違いですが、最新のスマートフォンでも数字の並びは1で始まって0で終わっています。)電話帳も最初は今風に「タウンページ」と作ってしまい、「1973年にはタウンページって言ってなかった」と住民の方に教えられて作り直したとか。僕が「タウンページになったのは1985年に電電公社がNTTになった頃からだ」と説明すると、学生さんは「え?デンデンコウシャってなんですか?」…というぐらい、生まれる前のことを再現するのはいちいち大変なこと。でもそれを丹念につぶして、しかも楽しく仕上げているのにはほんとにシャッポを脱ぎました。(…ってそこまで死語を使わなくてもいいか…)

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じゃーん!こちらが新作の立体断面模型。こちらは20分の1と、平面模型の1/3の縮尺で作ってあります。知らないことをここまで作ってしまうとは…若いってすばらしい!プロトタイプにしたのは1フロアに2戸しかない(階段が1列の)ボックス型住棟。室内はワンフロア分のみインテリアまで作ってあります。団地萌えの皆さんが見たら悶絶してしまうかも…。

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これが立体模型の中。なんと電灯まで点灯しちゃいます!右の電灯の傘はプラコップの底を使っているそうです!ちょうどいい素材を探すのにもすごく工夫があります。

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こちらは子供のために作ったニュータウンの絵本。なんと実際に出版されるそうです!今の子供が怪獣「ニューミー」に連れられて1973年にタイムトラベルし、当時と今の「町の違い」を学んで帰ってきてこれからを考える…というストーリー。「須磨ニュータウン展」では須磨ニュータウンが舞台になっていて「ニューミー」も須磨区の花であるコスモスの柄をつけているのですが(ね?芸が細かいでしょう?)、絵本は大勢の子供に読んでほしいから出版では「神戸のニュータウン」と記述を広げて直したそうです(ニューミーのコスモス柄はかわいいからそのまんま)。HAPPYな暮らしを夢見たニュータウンが高齢化して子供の数も減り…という変化は、日本中の多くのニュータウンで同じように起きている物語です。でも最後は「これから」につなげて終わるところはニュータウン人としてはうれしいです!大勢の子供に読んでほしいですね。

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たった1週間で終わった「須磨ニュータウン展」ですが、教室にはどんなイベントだったかを説明するボードもありました。これだけアイデアがいっぱいあったら、またいろいろできるでしょう!学生のアイデア、先生の指導力、話を持ち込んだ行政マンの仕掛け力、企画をふくらました住民のリアリティ…もう、どれをとっても素晴らしい!須磨区は人口の半分ぐらいがニュータウン住民なので、ニュータウン問題はマジでやらないとまずいという切実感があるみたいです。海のイメージが強い須磨ですが、南半分がそうした既成市街地で、北半分が丘の上のニュータウン。自治体が一つなのに特徴がはっきり分かれるところは、多くのニュータウンが共通に抱える課題です。「その境界線上にあるのが神戸女子大です!」と梶木先生。

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なんだかすごい大歓迎を受けて、ああやっぱりニュータウンオタクやっててよかった~としみじみ感じた一日でした。皆さん校門までお見送り。快活でアイデアと実行力いっぱいの素敵な学生さんと先生でした。(そんな中で男二人でがんばった須磨区の職員の方にも最敬礼!)こんどは千里ニュータウンと吹田市立博物館にも遊びに来てくださいね~!(万博市民展のチラシ、しっかり配ってきました。)ありがとうございました!

(by okkun)

コメント

  1. うっちゃん より:

    こんにちは!
    パネルを見ながらイベントや模型の説明をさせていただいたうっちゃんです(*^o^*)!ボーダーの服を来ていたんですが、覚えてらっしゃいますか?
    先日はわざわざ遠くまで足を運んでいただいて、ありがとうございました。
    しかも、こんなに素敵な記事にしていただいて…
    「blogにのせますか?」と催促をしたあべべもさぞかし満足していることでしょうwww
    okkunさんが来てくださることを心待にして春休み中準備を進めて来たので、終わってしまうと少し寂しい気もしますが、当日は楽しんでいただけたようで本当に嬉しく思っています(o^∀^o)
    また、お会いできるのを楽しみにしています!
    本当にありがとうございました\(^ー^)/

  2. okkun より:

    どうも!熱烈歓迎ありがとうございました!これはちゃんとしたブログ記事にしないと…と熱を入れていたら遅くなってしまいました。皆さんの活動でカンドーしたのは、製作のテクニックもさることながら「ニュータウンは皆がHAPPYをめざした夢の町だった」というスピリットの部分をちゃんと理解して再現していたことです。住民の皆さんもすごく喜んだと思いますよ!またぜひぜひ吹田千里にもお越しください。ところでブログを書くときに正確にわからなかったのですが「授業の名前」と、平面模型、立体模型それぞれの縮尺はいくつでしたっけ?コメントでいただいたら追記します。

  3. あべべ より:

    授業名は『地域生活演習』で、平面模型は100分の15、断面は20分の1ですよ(^^)/

    先日は、遠いところ、わざわざ来て下さってありがとうございます!
    嬉しかったです!

    そしてお忙しい中、
    このようにブログに載せてもらって本当に感謝しています。催促してしまったようで申し訳ありません(>_<) ありがとうございました! お話を伺ってとても勉強になりましたし楽しかったです☆
    講演会にも是非行かせて頂きたいと思っています。鉄板ダンスも気になるので…笑

  4. ハティ より:

    先日はきてくださってありがとうございました。
    ニュータウン写真にくいついたハティです。元々集合住宅に興味があって、見せてもらった写真と質問に解説してもらって本当によかったです。写真も風景写真みたいできれいですね。
    それからブログでの絵本へのコメントありがとうございます。模型は好評ですが絵本はなかなか評価を声にしてもらえることがなくて。とってもうれしかったです。

  5. みっちゃん より:

    こんばんは!
    先日はお越し頂いて本当にありがとうございました!

    私は模型班として模型作りを行い、ミニ段ボールも担当したのですが、段ボールにまでお褒めの言葉を頂いて本当に嬉しいです!笑

    私はこの授業を履修するまで、本当に「ニュータウンってどんな所?」というくらい知識が無かったのですが、先日見せて頂いた様々なニュータウンの写真を見て、是非千里ニュータウンにも行ってみたいなあと思っていますo(^∇^o)
    本当にありがとうございました!

  6. どっち より:

    先日は遠い処、お越しいただきありがとうございました。
    模型、絵本共にたくさんのお褒めの言葉をいただき嬉しい限りです。
    また、貴重なお話をたくさん聞けただけでなく、写真やパンフレットを見せていただき、とても勉強になりましたし、最後には素敵なポストカードまでいただけ争奪戦になるほどみんな興奮して選びました。
    ありがとうございました。

  7. okkun より:

    千里ニュータウン展をやった仲間も、ブログで須磨ニュータウン展のことを知ったら仲間が増えたみたいで喜ぶに違いありません!もう、千里ニュータウン展から5年もたってるのに…。絵本は読み聞かせをして回って、直接子供と接触する場を持つと、もっと広がると思います。大人にとっては「途中で越してきた町」でも、子供にとってはそこが故郷ですから、子供からアプローチしたほうが愛着が広がるみたいなのです。子供は親に話すし。
    https://suihaku-hiroba.com/200905_article_184.html
    ダンボールはお金がない時の最強の素材で、なんにでも化けちゃいます。2007年に吹田でやった前回の万博展ではダンボールでつくったかぶる太陽の塔が大好評!
    https://suihaku-hiroba.com/200904_article_300.html
    ほんとはちゃんとした模型を借りたかったのですがお金が足りず、やむをえず「じゃあダンボールで作るか…かぶれるのも作ろう!」とやったらそっちのほうが面白かった。ニューミーもダンボールでかぶれるの作ってみたらどうですか?あのコスモス柄は個性がはっきりしてるので、多少顔や形が違っても大丈夫です!工夫は無限の資源です。ましてあれだけ実行力があれば…。

    ぜひ千里ニュータウンや吹田市立博物館にも来ていただいて、面白がりのカンチョーや吹田市民とも会う機会があるといいと思います。模型も吹田で展示できるといいですね。すごくちゃんと工夫してるから、どこでもウケると思いますよ。

  8. norikaji より:

    先日は、お越しくださいましてありがとうございました。
    平成生まれと書いていただきましたが、このブログを読んだ私の知り合いからは、「サービスされ過ぎだ」とお叱りを受けました

    絵本はいよいよ発行が間近になってきました。
    模型を作成していた学生たちが、okkunの訪問後、どうも暇をもてあましはじめています。これは気合いを入れねばならないということで、早速、吹田市立博物館と民博、千里ニュータウンへ遠足に行く計画を立て始めました。
    5月の連休明けに行こうと考えています。
    千里ニュータウンは始めてという学生も多いです。
    カンチョーさんにもお会いできたら嬉しいです。

  9. okkun より:

    あまりの出来映えと大歓迎に、何かお返しせねばと思いあまってあさっての方向に行ってしまいました…。1973年といえば先生も幼少のみぎりであられたことを少し強調して表現してみました。皆さんの千里訪問は大歓迎です!すいはく、みんぱく、千里NTとなれば1日コースですね…。できるだけご案内したいので都合合わせなど別途メールさせていただきます。このブログをダンボールタローの作者(自称アーティスト)に送ったところ「これははんまにすごいお仕事ですね~!リカちゃん!…アキバ系から世界発信まで視野に入れて運ぶことができる未来の展示かも」というすごい感想が返ってきたことをお伝えいたします。

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