鯰押さえ: 郷土玩具

今回の展示ではナマズが変にもりあがっていますが、また新しい資料が手に入りました。

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岐阜県大垣市の郷土玩具「鯰押さえ」(なまずおさえ)、祭りのヤマのからくりを模したもので、明治初年に作られ今日に及んでいるものだそうです。老人が浪中にたち、水に暴れる大鯰を瓢箪で抑えようとしているもので、仕掛けは簡単なカラクリで、箱の端から出ている紐を引っ張ると、紙製の鯰と老人がくるくる動きます。

実はこのおもちゃは、民博から借りたものがすでにガラスケースの中に収まっています。

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多分、昭和のはじめ頃にアチック・ミュージアムの資料として集められたものだと思うのですが、何しろ国有財産なので、(観客が)さわると壊れるからとそうしているのです。しかし、それで何がわかると言うのか?色あせた紙?壊れて動かない仕掛け?分解できないのでなかの構造もわからない。そのうち倉庫の中で朽ち果て廃棄処分になることと思われます。

わたしは、つねづね、民俗系の資料の展示には異儀を唱えたいとおもっています。身の回りのこまごまとした労働具、生活具、楽器、おもちゃ、かざりものなどは、一たん展示されると、宝物あつかいしてさわってはならないとなる。これらの多くは、安手の素材なので、保存が難しい、それに、一時的なものなので用途や目的がわからなくなる。考古学をやっているとそれがよくわかります。そんなピントのずれた展示手法でいいのでしょうか?

おもちゃの歴史を見ると、動くものがけっこうおおく(張子の虎、鳩車、弾き猿、板返しなど)さらに一歩進めてカラクリ(指南車=なんと日本書記に出ている、魚つり人形、飛び人形など)になっているものがあります。日本のカラクリは17世紀から盛んになったそうですが、元禄時代ものについては、今盛んに復元や創作の動きが盛んなようです。その一部は、今夏の子供工作教室にも生かされています。
 
おもちゃを時系列や地域、類型によって整理して並べて展示し、動かせるものを子供たちと一緒に楽しむと言う企画もかんがえられますね。これは、さわる-誰もが楽しめるミュージアムのテーマの1つかもしれません。

(カンチョー)

コメント

  1. 団塊の婆 より:

    そうですよ!玩具は手にして遊ぶもの。見ていて遊べるものはおもちゃとは言わないはずです。
    道具もしかり。

    模造品でもいいではないですか、博物館には学芸委員さんたちがおいてですよね。復元するのも仕事のうちなのでは?
    復元されて模造品を作れば堂々とさわれるのでは?

  2. okkun より:

    ナマズはジャパニーズ・キャラクターのご先祖様ですね。そういえばオバQとか似てるかも?

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