講演会「大阪及びその周辺地域の断層と地震」

7月31日(日曜) 午後1時から吹田地学会事務局長の林 隆夫さんが「大阪及びその周辺地域の断層と地震」について講演してくださいました。100人を超す聴衆で会場はムンムンでした。

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阪神淡路大震災のとき阪神間では震度7で強烈な被害を受けた場所とすぐ近くなのにあまり被害のなかった場所があることが目立ちました。いわゆる「震災の帯」が現れたのです。豊中の庄内地区や堺筋の三越デパートは周辺とくらべて被害が突出していました。この現象がなぜおきたのでしょう?一部の学者は「震災の帯の直下に活断層がある」と主張しました。さて真相は・・・・? 

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上の図のピンク地帯は震度7の地域です。大阪府内では仏念寺山断層の西側の豊中市域や上町断層の西側で被害が大きかったのです。調査の結果、阪神間の活断層は震災の帯のやや北側にあることがわかりました。

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地震波の伝わり方をコンピューターシュミレーションした図です。地震の波は地下深いほど速度が速く基底岩盤が最も早いのです(2000m/s)。地表近くは遅い(400m/s)という性質があります。地下深くを走ってきた地震波が断層を駆け上がる時波は屈折して地表で波が集中する場所とまばらになる場所ができます。この集中する場所に震災の帯ができると考えられます。レンズで光が集まるように地震の波の焦点効果と表現します。

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上図の左半分のように、断層で落ち込んだ側の上で揺れが大きくなることは今後の地震でも当てはまると考えられます。そのほか人工地盤(埋立地や丘陵地の盛土造成地)では揺れが大きくなります。

直下型地震

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図の黄丸印あたりが吹田市です。吹田市の近くの活断層に目をやると、近くには4:上町断層帯、6:六甲・淡路島断層帯、10:生駒断層帯、11:有馬-高槻断層帯があります。これらの断層が動くと吹田市内でも甚大な被害が出ると予測されます。

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これら(4,6,10,11)のうち上町断層帯の歴史=活動記録をみると平均活動間隔が8000年程度なのですが前回の活動は28,000~9,000年前と考えられるので、「いつ起きても不思議ではない」という意味で30年以内の発生確率は2~3%と言われてます。

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プレート境界型地震
今回の東日本大震災と同じ原理でおきると予測されている大地震に南海トラフで発生する地震が考えられます。

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南海トラフ(海溝)で発生した巨大地震(南海・東南海・東海地震)の年表です。南海地震、東南海地震、東海地震が100~150年周期で起こっています。次に南海トラフで発生する地震は昭和タイプではなく、宝永タイプあるいは安政タイプの超巨大地震になると推定されます。南海地震や東南海地震が起こると大阪は震度5~6の強い揺れと最大波高3(~6)m程度の津波に襲われると考えられています。

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割り箸に力を加えると「いつか折れ」ます。しかし「いつ」「どの場所で」折れるかを予測することはきわめてむつかしいのです。地震もこれとほぼ同じ現象なのです。

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(おーぼら)

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