この夏の特別展の統計結果がでました(中間集計ですが)。入場者数4025人、今年はゆとり教育見直しのため、夏休みが短かったので開催日は短く34日、一日平均118人でした。
この数字をどう見るか?現場を見ていて感じるのは、けっこう盛り上がっていたのですが、数値的には少なく、博物館経営の難しさを痛感しています。
夏休みは博物館もお休み、数年前まではとくに予算を注ぐことはありませんでした。しかし、この時期、子どもを無為に遊ばせるのはもったいない、「何かしてほしい」という市民からの要望が出て、彼らこそ将来博物館を支えるのだと、子どもむけの企画を考えました。そこで、「遊び」を視野に入れて、自然をテーマにすることにしました。自然に環境をダブらせれば当然、大人も関心を持つはずという目論みもありました。
それを実行したのが2009年度の夏季展でした。都市的な環境に急激に変わりつつある吹田市に自然は残っているのか(あるいは、どの程度残せばいいのか)が問題になり、「セミの抜け殻」調査をメインに取り上げることにしました。セミの抜け殻を持っていけば博物館に記録され、カードがもらえるという実利性もある試みに、子ども達は敏感に反応し、大にぎわいになりました(抜け殻の処理に苦労したほどです)。
2年目の2010年度はヒメボタル、ツバメの調査を中心におこないました。子供向けには、「身の回りの動物や植物の写真」をあつめようとしたのですが、前年ほどの動きがありませんでした。ケータイがあるやろ!とおもったのですが、普及はそれほどでもなかったことと、実物と写真の差、対象が広すぎて何に焦点を絞ればいいかなど、具体性に欠けていたからだとおもいます。ある意味では博物館はモノ中心という思想が大切なのかもしれません。しかし、ヒメボタルはその結果、吹田市の天然記念物に指定されたのです。また、ツバメ調査も新聞に書かれました。自然関係NPO団体を中心にした、長年にわたる地道な観察記録の結果が実を結んだのだと思います。
今年の夏季展は3・11東日本大震災によって、準備期間の途中から、委員達の視点が大きく変わりました、災害を取り上げるべきだと。それは危ない(他でやっていないし、微妙な問題が多すぎる)という意見もありましたが、あえて踏みきりました。今回は「講演」が充実していたことが特徴で、たくさんの聴衆が集まり、統計的には観覧者数をはるかに上回りました(これまでは1:1くらいの比率でしたが今回は7:3くらいに増えたと思います)。
市民が実行委員会をつくって企画し、運営にも参加するこの博物館のやりかたは、全国的な注目をあつめはじめていますが、いろいろな問題があることも感じます。ちかいうちに反省会を開き、問題点を整理し討論したいと思っています。でも、地方博物館は市民あってのものという私の考えは変わらず、よりよいあり方をこれからも探っていきたいと思っています。来年はどのような企画が出るかが楽しみです。
(カンチョー)
コメント
このグラフ、土曜日を青字に、日曜日を赤字にすると、週末との関係がもっとよくわかりますよ。
okkunさん、ご指摘ありがとうございます。
グラフの色を変えるのはメンドウなので曜日を入れたものを追加しました。
うう~ん…週末との関係はあるようなないような…ですね。お盆前後は高原状。(低原状?)これはむしろ個別のイベントとの関係を見たほうが何か知見が得られるのかも。