熱気にあふれるシンポジウム: 「手学問のすゝめ」みんぱく公開シンポ報告

すでに報告したように、10月29日と30日にみんぱくで「ユニバーサル・ミュージアムの理論と実践―博物館から始まる「手学問のすゝめ」―」が行われました。チラシをつくり100名の定員と一般によびかけましたが、早々に定員をオーバーして〆切らざるをえず、お断りがたいへんだったそうです。こういうオカタイ会はアキが出ることが多いのですが、北海道から九州までかけつけてきて、長丁場になのに帰る人もなく、両日とも部屋いっぱい、大変な熱気、フロアからの発言も活発でした。ろう(聾)のかたの参加もありました。

会場のスペースには、国立特別支援教育研究所から「モナリザ」、「最後の晩餐」、「北斎の神奈川沖浪裏」、「歌麿の姿見七人化粧」のさわる絵画、彫刻家の柳沢さんの「さわる展示パネル」、すいはくでも展示された陶芸の森の「まん○粘土・・」、ライトハウス小原さんの「石創画」などが廊下にずらりと並べられ、それだけでも、小規模な展示会といっていいほどでした。なかには、みせたいと、作品をもってきたアーティストもいました。

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このシンポは、視覚だけにかたよった現代の博物館のあり方」に一石を投じることが狙いの1つで、みんぱくの「さわる文字、さわる世界 触文化が創りだすユニバーサル・ミュージアム」と、すいはくの「さわる展」の実践、および、文科省の科学研究費による研究成果を礎に構想し、開いたものです。(学芸の五月女さんによる「さわる展」の回顧と展望の発表もありました)。

第一部はわたしの問題提起(小山)「壁を壊せ・・」からはじまり、(増子)三内丸山遺跡訪問から青森美術館でTouch the Art展が実現するまでの経緯、(原)国際キリスト教大学、(三浦、宮本)信楽陶芸の森、(藤村)美濃加茂市民ミュージアム、(鈴木)安土城考古博における成果報告。

第二部は、広瀬さんの講演「フィーリングワーク入門・・・」に続いて、(岩崎)「盲学校における社会科教育」、大内さんの「さわる絵画の可能性」、柳沢さん「さわる展示パネル」についての話。

そして、中牧さんの講演「梅棹忠夫の博物館経営論」。さわるをみんぱくで実践し、つねにイノベーションを心がけよとアジテーションを続けた、先覚的思想の紹介でした。視力を失ったあとウメサオさんはどうしていたかの質問もたくさんでました。

画像第三部は誰もが楽しめる蝕擦展示の試みで、(真下)「触れる写真」、(大高)「ニューヨークの移民ミュージアム」、(五月女)「すいはくのさわる展」、(石川)大阪の「キッズミュージアムでの暗闇体験」、和歌山県博の画期的な企画(大河内)「さわる仮面展」が発表されました。

そして、最後に総研大図書館長及川さんの総括。大学での講義で学生から聞いた、ユニバーサルミュジアムに関する意見をのべ、(この種の研究会は科研などの資金が途切れると消え去ることがおおいが、そこは我慢して、頑張ろうではないか。電子メディアを活用して、積極的に活動してもらいたいとのことでした。また、半田さん、小原さんなど、視覚障害者からのコメントは鋭く心うたれました。

このシンポジウムでは、マンネリになり不振をかこっていると思った日本の博物館でも、心ある人たちが草の根的にさまざまな試みを行っていることに力づけられ、博物館はほろびないと思いました。

強行スケジュールでも、飲み会はつきもの。来年は一丁、ツイッターやへースブックなどをつかい、日を期して、「さわる展」の一斉蜂起をヤロー、アラブの春だーなどとかぎりなく盛り上がりました。だから2日目はキツかった。ちったートシのことも考えなくっちゃーね。

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内容と発表者については、チラシを参照のこと。
広瀬さんは、このシンポジウムをまとめ「本」にすると張り切っています。

(カンチョー)

コメント

  1. 鼻曲がり仮面 より:

    シンポジウムに参加して、ユニバーサル・ミュージアムというのは無くても良かった垣根をはずす、壁を壊す、領域をこえていくものだと、あらためて確信しました。
    「これを研究者の自己満足で終わらせるな」という小山さんの発言に共感しました。
       

  2. こぼら より:

    (あの)カンチョーが、2日間のシンポの間、1度も抜けだすことなく、じっと座っていた!これは今回、カンチョーをよく知る人たちにとって衝撃だった(笑) ようで、あちらこちらから驚いたという感想を聞きました。

  3. もぐら より:

    こぼらさんに同感。及川先生もずーっと聞いておられましたねえ、、、。発表者順にコの字形に座られていたので、発表後の方が安堵(余裕)の表情になっていくのとは対照的に、これから発表される方が緊張しているのがとても印象的でした。半田さん、小原さんのコメントもっとお聞きしたかったです。

  4. 大河内 より:

    シンポ参加者の大河内です。
    いつもカンチョーブログ、楽しく拝見しています。
    シンポの両日は、ツイッターで各報告の要約を同時中継していたのですが、その内容をブログにまとめました。
    観仏三昧的生活(2011年11月10月30日記事)
    http://kanbutuzanmai.blog66.fc2.com/blog-entry-496.html
    次回、このような機会にあたっては、さまざまな媒体を使って広報の相乗効果を計っていきたいですね!

  5. てつ より:

    カンチョーはついに 煙草を辞めたのか??

  6. 千里家まんま より:

    小山様
    突然のコメント失礼致します。本日吹田市立博物館で落語をさせていただきました土井(千里家まんま)でございます。
    ブログ、今後も拝見させていただきたいと思います。
    また是非、落語やイベントの司会をさせていただきたいと思いますので、機会がございましたらぜひよろしくお願い致します。

  7. おーぼら より:

    大河内さんのTwitterはこちらで読めます。
    http://twilog.org/kanbutuzanmai

    ちなみに小山修三のTwitterはこちら↓
    http://twilog.org/koyamasyuzo

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