ことしも奈良国立博物館で開催された正倉院展(第63回)に行ってきました。
今回の目的は、14年前に出品されたとき行けなくて見損ねてしまった「蘭奢待(らんじゃたい 正式には黄熟香というそうです)」をみること!名香の誉れ高く、時の権力者が切り取った跡があるという香木です。
昨年はあの琵琶が展示されていたケースにおかれていました。
で、でかいっ…(汗)
写真からは、この大きさを想像することはできませんでした。沈香といえば、粉みたいなカケラしか見たことなかったし・・・。
(ご参考までに、チラシ↓に黄色でサイズを書き込んでみました。)
たくさんの切り取り跡がみえました。近年の調査では、切り取られた時代はさまざまですが、38ヶ所の跡があるそうです。そのうち3ヶ所、足利義政、織田信長、明治天皇が切り取った部分だというところに付箋がつけられていました。付箋の文字をはっきり見たいと思って正面に回ってみたのですが、ヒトがいっぱいで前に行けません。精緻な細工があるわけでもなし、知らなければただの木材にしかみえない地味な外観なのに、この人気(笑)
正面から見るのはあきらめ、裏からじっくり眺めることにしました。裏の隅にも切り取られた跡がありました。
実物の迫力と、切り取り跡に「物語」を見たことで満足し、その場を離れようとしたとき、隣の女性が「どんな香りかなあ。ガラスケースなんかに入れないで、香りがわかるように展示してくれたらいいのにね」と言うのを耳にしました。
えっ、えー?正倉院御物にそれを求めるのぉ…!?一般公開してもらえるだけでも凄いことなのに・・・。
行った時間が遅かったのでみてないのですが、会場外の新聞社のブースでは、2種の香木の香りを体験できるコーナーがあったそうです。先日のみんぱくシンポジウム「手学問のすゝめ」の「本物vsレプリカ」の熱い論争を思い出しました。博物館中の博物館といえる奈良博でさえ、こういった工夫が組み込まれるようになったのは、これからの博物館のあり方に大きく影響するだろうと思いました。
(こぼら)
コメント
ランジャタイは156cmもあるんですねー。あれは文化財でしょうか?もし切り取ったところに歴史的価値があるのなら、10とか20年に一回の公開だから、すこし、切り取って、印をつけておけば記録になるし、何千年も持つと思うけど。それをかがせば、大変な騒ぎになるでしょうね。それとも、権威付けしてありがたさを強調するのが、博物館というものなのでしょうかね。
わが家にも香木なのかな?と思われる1×0.5cmくらいの木のはしきれがあります。
夫の叔母の遺品整理で見つけて残してあります。削って燃やしてみようかな…
14年前にみれなかったものを見にいかれたんですね~すごい。
においをかぎたいという気持ち、わかるなあ~。