『百姓往来』: 「大庄屋 中西家名品展」(その11)

画像展覧会の準備で中西家の箪笥を整理していると、表に『百姓往来』と書かれた版本が出てきました。

『百姓往来』は、農家の子弟向けに発行された「往来物(おうらいもの)」と呼ばれる初歩教育の教科書の一つです。『田舎往来』(宝暦8(1758)年刊)が普及したのを受けて、それをベースに明和3(1766)年、『百姓往来』が発刊されたといい、明治期にいたるまで、70種類も刊行されたそうです。

中西家で見つかったこの本は、裏表紙の墨書から、中西家11代になる八平治(1865~1945年)さんが13歳の時(明治10〔1877〕年)に使っていたものだと分かります。

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明治5年(1872)の学制発布により、翌明治6年、片山邑字芝田(東原町バス停前付近)に第八大区第五小区一番小学校(千里第一小学校の前身)が開校しました。しかし、校区が15か村で、現在の吹田市全域にあたる広い範囲で、児童の通学が困難であったことから、まもなく山田小川村の安養寺に二番校など学校が次々と設立されました。「第八大区五小区二番組」とあるのは、この二番校にあたります。学制が始まった当初は欧米の翻訳教科書が使われ始めたが、江戸時代の往来物などもそのまま教科書として使われていたことを示しています。内容は、農業や百姓の生活に関わりの深い言葉や心得などを書かれており、手習いの教本として使用されました。明治14年の「小学校教則綱領」により教科書の自由採択制から届出制へ改められました。近代学校制度開始当初の状況を示す興味深い資料です。

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(I & terra)

◆平成24年度 春季特別展◆ 今週土曜、開幕です!
「大庄屋 中西家名品展」
会期/平成24年4月28日(土曜)~平成24年7月1日(日曜)
前期:4月28日~5月27日、後期:5月30日~7月1日
(会期の前期と後期で展示内容の一部が異なります)

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