1970年、昭和45年。日本中が「万博(日本万博博覧会)」の開催にわいた年です。
万博は、開催当初から現在にいたるまで、たくさんのメディアに登場してきました。マンガもその例外ではありません。たとえば、国民的マンガといわれる「サザエさん」(長谷川町子)をみると、1970年分の新聞連載中8本が万博に関するものです。またそのうち5本が宿・混雑をテーマにしており、当時の万博のにぎわいぶりをうかがわせます。
庶民の万博への傾倒ぶりを風刺をまじえてユーモラスに描いた「サザエさん」にたいして、「花の係長」(園山修二)では、この博覧会と当時の社会風潮への深刻な疑問がなげかけられています。4ページのマンガなかには、万博開催の政治的意図、安保問題、公害、物価の高騰、地域伝統がうしなわれてゆくことへの警鐘など、さまざまな問題がつめこまれています。
「花の係長」のなかに、万博から帰ってきた主婦が、「水洗のある公団あたらないかしらねえ」とつぶやくコマがあります。千里ニュータウンは、開設された当時から下水道の普及率が100%。70年代の終わりですら、全国の下水道の普及率がまだ3割にも満たなかったことを考えると、この事業がいかに先を見越したものであったかがうかがわれます。
さて、万博の記憶のある世代が社会の中心になって活躍している現在。「再発掘」というかたちで、この時代の風俗がメディアに登場することが増えています。「20世紀少年」(浦沢直樹)やアニメ「クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」では、70年代を焼き直したかたちで、「万博」をときにノスタルジックにときにグロテスクに描いてみせます。
「バーバーハーバー」(小池田マヤ)は、千里出身で東京勤務のOLと千里で開業する散髪屋のマスターとの、ほのぼのとした現代の恋愛物語。二人が親しくなるきっかけになった「太陽の塔」は、この物語の背景としてしばしば姿を現します。描かれる周辺地域には地元の人にとってなじみの場所も多く、読んでいてついニヤニヤしてしまうのではないでしょうか。
このマンガは、吹田市立博物館の「図書コーナー」に地域の資料として展示されています。博物館に来られた方は、ぜひ手にとってみてください。
(by ゆみ)
コメント
バーバーハーバー!東子(太陽の塔子)さんですね。昨年、仕事場の人に進められてあっちゅう間に全巻揃えてしまいました。架空の千里が出てきますが、ウチの近所の公園や近隣センターが出てきた時は嬉しくなってしまいました。今度の日曜日に見に行かせて頂きます。
昔読んだ漫画本にムロタニツネ象の「人形地獄」(?)というのがあったと記憶しています。確か、その本の中に「パビリオン地獄」(?)というのがありました。万博が深夜地獄に変わるという話です。。記憶が曖昧ですが、確かに太陽の塔やガスパピリオンなどが描かれていたと思います。もう一冊、とみさわ千夏の「思い出つまんで」の確か1巻に東北に住む小学生がみんなで万博に行く計画を立てるエピソードが描かれていたと思います。あの頃、全国の小中学生が友達だけで万博に行きたいとあれこれ計画して楽しんでいたんでしょうね。ゆみさんの記事を読んで、この二冊、もう一度読んでみたいなぁ~と思いました。(^_^)でも、二冊とも今では廃刊になっているんでしょうね。
サザエさんのなかに、「万国博終わる」というタイトルのマンガがあります(1970年9月)。自宅に泊めていたお客が帰ったとたん、主婦がバタッと倒れる・・・・千里ニュータウンでは、万博を見に来た親戚を泊めて、てんやわんやの毎日だった家が多かったと思います。わたしは子どもでしたが、母がこのマンガにいたく共感していたのを覚えています。母によると、主婦仲間のあいだでは、今でも万博の思い出話というと、パビリオンの話よりも、当時のお客三昧の日々の話で盛りあがるそうです。
遠足で万博見学したときの(はずかしい)思い出です。はじめて外国人をみたわけじゃないんですが・・・大阪万博を見に来ていた青い目のお兄さんにサインしてもらいました。家に帰ってみせて、笑われました。その手帳はなくしてしまったのですが、名前と、たぶん出身地であろう地名を書いてくれました。小学生にずらーっと並ばれて、そのお兄さんの方がびっくりしたでしょうね。
懐かしいですね このトピクス
まだ 散髪屋さんの漫画は読んでません
ニュータウン半世紀展 期間中に探しに行くぞ!!!!おー!!