昨年12月10日、阪大のマチカネワニ・シンポジウムがありました。その時、発表された桂さんのマチカネワニの病理学という話が大変おもしろかった。化石を手に取りながらの解説もあったので迫力満点でした。
まず、あのワニには下顎がありません。これは掘り残したのではなく、よく見ると治癒の跡があるので、食いちぎられて、そのあともだいぶ生きていたらしい。そんなことあるのか、と調べてみたら、顎なし状態で生き続けていた例が実際にあるそうです。さらに調べると脚も骨折したことがあるらしく、これも治癒しています。そして、背中にある鱗骨には、かまれた歯の跡らしい穴が開いているのです(これも、かしていただけるといいけど)。
ワニは普通のろのろしているのですが、瞬間的な動きは素早く激烈で、たとえば餌をやるときには、水面上に半身が出るほどにジャンプします。また雑食性で、共食いも辞さず、大口と鋭い歯でなんでもたべてしまう。
ワニは卵からかえります。小さいときはかわいいものですが、トリや成獣という天敵がいます。大きくなると、縄ばりやメスをあらそって、仲間同士で戦わなければなりません。だからいっぱしの大人になるためには苦難の道を歩まねばならず、悠々としてるように見えても、むこう傷はいっぱいなのです。マチカネワニのからだには、そんな苦難の歴史がきざまれているのです。
マチカネワニは40万年前に、まだ平坦な沼地だった吹田や豊中あたりの、淡水域にすんでいました。このころは、アケボノゾウもいたはずです。ワニとゾウは戦ったのだろうか、ワニははゾウを食ったのだろうか、という質問が出ました。富田林だか、滋賀県では(わすれました)、ゾウの足跡化石のうえに、鋭いワニの爪痕がついていたものがあったそうです。これで、両者が戦ったかどうかはもちろんいえないのですが、悪食のワニのことだから、子象を襲ったり、死んだのを食べた可能性はあります。あの、おれた下顎は、ゾウにやられたのかも、と空想をとばすのもおもしろいですね。
(カンチョー)
コメント
すいはくに来る ゾウとワニの話題で持ちきりですが なんか その時代に 他にも動物は居たと思んだけど 何がいたんでしょうか? ゾウや ワニは 今 野生で大阪には居ませんので 他にも 考えられない動物は居たんでしょうね?(^^ゞ って 当時は 全部が野生かぁ(^_^;