吹田アーカイブ展注目の一品 その6: 大塩平八郎の墨書(中西家蔵)

画像大塩平八郎といえば天保8年(1836)「大塩の乱」。天保の飢饉による米価高騰に何らの手も下さない、ゆるみきった役に怒った元大阪町奉行与力が私財をなげうって武装蜂起したが半日で鎮圧された。しかし、幕府の直轄地で、かつての能吏が、大砲を使って町を焼く挙に出たことは各地に大きな波及効果があり、倒幕にいたるきっかけをつくった事件でした。

森鴎外は「大塩平八郎」という歴史小説を書いていますが、記録に基づき事件経過を淡々と追う、鴎外らしい手法で、平八郎を英雄ではなく、風采のあがらぬ癇癪持ちでおもしろみのない人、ただし、正義感の強い陽明学者で、死を覚悟して行動を起こした人と描いています。

吹田と平八郎の関係は深く、泉殿宮の神主、宮脇志摩は父方の叔父(乱にもふかく関係して、切腹入水)、知己友人も多かったようで、いくつか手紙ものこっています。しかし、そういう火急の時ではなく、平時は頼山陽や田能村竹田がスターだった大阪文壇に場を提供していた、吹田の大庄屋の家に、文人墨客として出入りしていたようです。

この掛け軸は七言絶句で、「空を見上げれば雲がむらがり、わが思いもおなじ・・・」、という意味のことが書いてあるようです。浅学にしてうまく読めませんが、縦の流れに勢いのある力づよい書だと思います。意味や背景については、5/30(土)に講演する相蘇先生に聞いてみたいと思っています。

(カンチョー)

◆講演会のお知らせ◆
5月30日(土曜) 14時~15時30分
「大塩の乱と吹田」
元大阪歴史博物館副館長 相蘇一弘氏

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