博物館というバリアー: 金沢21世紀美術館

もともと博物館や美術館は視覚その他の障がい者の来場はそれほど想定していなかったので、入場や観覧時のバリアーがおおかった。しかし、バリア・フリーが問題になってからは、さまざまの改善が おこなわれ、だいぶ良くなっている。しかし、物理的、機械的なものだけではなく、まず、精神的バリアがあるのではないか。

荘厳な建物、大声出すな、写真は撮るななど、たくさ んの禁止札、人けのないギャラリーの薄暗い照明の中でたちあがる人形、そしてガラス箱にうやうやしく収められた展示品、それにくわえ怖そうな監視員。すいはくでも「これでは子供たちが怖がる」とよく言われるし、一般人ですら、博物館と聞いただけで敬遠し、せめてミュージアムとかエンタメ館とかに名前を変えたらどうだという提言もよくきく。

画像金沢21世紀美術館が立案されたときこの財政難の時代、巨額の費用がかかるのに、いままでどおりではダメの声があがり、企画立案について、まず市民の声を聞くことからはじめたそうだ。その結果できたのが、総ガラス張り、無料入場できる範囲のおおきい、レストラン、ミュージアム・ショップ、読書室、休憩室、市民ギャラリーなどのある、この建築が実現した。実にたくさんの人びと がまるで、内外の区別がないように自由に行き交っている。

自然の風のように行動できるという妹島和世・西沢立衛さんのデザインとコンセプトはNHKの日曜美術館でみて感心したものだ。この美術館の成功の鍵はそこなのだと納得した。

(カンチョー、写真は絵葉書から)

コメント

  1. HM より:

    やはりこの美術館は建築に負っているものが多いと日々感じています。制約も多いですが、まだまだ可能性を感じます。ただ、入場者が多いのもまた大変です。いつも何かと闘っています。

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