午後3時から講座室ではJAXA宇宙航空研究開発機構・未踏査技術研究センター主幹研究員 中野 不二男氏をお招きして「陸域観測技術衛星ALOSから見る日本列島-衛星データでわかる吹田の歴史-」という講演をしていただきました。
高樋について以前カンチョーから質問を受けました。ALOS(エイロス:陸域観測技術衛星)で作った地表面のデータから標高を考慮してどこに敷設したのかを考えてみました。この作業が完成した時に東日本大震災が起きました。そしてふりかえるとこの高樋のデータはまさに大阪平野のハザードマップになっていました。
タイトルに宇宙人文学とありますが、私(中野)が名づけたもので国際学会で認知させようと努めているところです。
宇宙人文学は宇宙人の文学ではなく、宇宙+人文学です。衛星データをとりこみ文献上の記述とを融合させてあらたな知見をえようというものです。
ALOS(エイロス)は北極と南極を結ぶ円を回っているあいだに地球が自転してくれるので全地球面を撮影することができ、三つのカメラが直下、前方、後方に向いているので地上の物体を立体としてとらえることができるのです。しかし同じ場所の上を通過するのは約60日ごとになります。2006年に打ち上げられ3年は保障され、約6年は使えるはずでしたが今回の津波現場の撮影をするために衛星に無理な仕事をさせたため今年5月に故障して使えなくなりその使命を終えました。
得られた地形から標高がわかるので、現在海岸から4kmの奥地にある三内丸山遺跡が縄文時代には海水面が高かったので海岸の近くにあったことがわかります。
垂水神社から難波の宮に水を送った説話があり、「どのような樋をどこにつくったのだろう」とカンチョーが疑問におもってることを聞き、検討しました。
標高26.5mにある垂水神社から難波の宮に直線で樋をつくると、神社の南側はいきなり6mも下るので、(位置エネルギーのロスがあり)そのあと水を流すことができなくなります。当然地形に沿ってゆるやかに下っていくようにつくられたはずです。そこでALOTのデータから標高30mから50cmごとの図を得て、そこにあらわれる地面をつないでいきました。その結果垂水神社から地面は東にゆるやかにくだり、標高3mでJR吹田駅付近の吹田砂堆にいたり、吹田の渡しのある神崎川と安威川の合流点付近に達します。この標高別の地図はまさに水害時のハザードマップになっています。
(旧吹田村は吹田砂堆がかろうじて標高3mくらいでそれ以外の吹田南部地域は標高2m以下です。)
結果として上の図のような経路が考えられます。「途中に遺跡がある」ということは労働力を集めやすかったであろうし、その場の湧き水を樋に追加することもできたのではないだろうか。
今後このルートで夢のプロジェクト、カンチョー主催で「竹で樋をつくってソーメン流し」をやってほしいです。その時は必ず参加します(笑)
恒例のカンチョー乱入もありました。
ALOS(エイロス)は今年5月に使えなくなりましたが、政府はALOS2号、3号の作成運用には消極的だそうです。この5年で得られた知識、成果は大学生の知識レベルで、これから大学院、社会人の働きが求められているのですが予算削減の嵐の中、今後が不安です。これは(松本防災大臣のような)オフレコではありません。
(おーぼら)
会場で回覧された7月14日付の読売新聞です。
(きょうちゃん)
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