マヤ文字から文字を考える

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11月19日(日)、マヤ文字の専門家・八杉佳穂先生の講演会「常識をぶっ壊す -マヤ文字から文字を考える-」がありました。
八杉先生は、とても物静かなお人柄で、おだやかな話しぶりの方なのですが、文字に対するとても熱い想いに支えられた内容のご講演でした。晩秋の雨が降るあいにくの天候にもかかわらず、たくさんの聴講者がありました。

まず、マヤ文字の特徴の説明から始められました。そもそも、この文字が常識はずれ。第一に読む順番からして、単純に1行ずつ上から下に、あるいは左右に読むのではなく、2列一組で上から下へ読んでいくこと。また、日本語のように、表意文字と表音文字があるほか、音読みと訓読みにあたるようなものがあること。歴史的な面をみても、マヤの西にあるオアハカ(サポテカ文明とミュシュテカ文明)では、文字による表現から絵による表現に変化していったり、さらに西のメキシコ近くで栄えたテオティワカン文明は文字を発展させませんでしたが、文字をもつマヤ文字に影響を与えたのです。

こういう特異な文字の研究を通して見ると、一般に流布している文字に対する「常識」に疑問が生じてくると言われます。たとえば・・・アルファベットは26文字を覚えたらよいのに、漢字は何千と覚えなくてはならないという常識――しかし、これは書記法のレベルを混同して比較したことから生じた「誤解」。言葉を表記するとは、意味のある単語を書いていくこと(「表語」)であって、単に文字を書くことではない。漢字は、そもそも語を表すものだが、アルファベットで語を表すためには、その組み合わせ(=スペリング、つづり)を覚えなくてはならない。つまり、単語の数だけスペリングを覚えなくてはならない、とするとアルファベットが合理的で漢字が非合理的だといえるのか・・・

このほかにも、我々がどれほど「誤解」しているのかを説明されました。すでにこのテーマで300枚の論文を書いておられるのだそうですが、まだ研究室で眠っており出版には至っていないのだそうです。早く本になりますように!
今日の要点は、「マヤ文字からみた常識、非常識」というタイトルで『昔の文字を読む』展の図録に書いていただいておりますので、ぜひこちらをお読みください。

そうそう、八杉先生は、あの梅棹先生を、「漢字論者やなあ」と言われながらも、論破されたそうです。

(こぼら + 難しいところのちぇっく:よしほせんせ)

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