エミリー・ウングワレー展~アボリジニが生んだ天才画家~(その1)

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2/25(火)から「エミリー・ウングワーレ展」が中之島の国立国際美術館でひらかれます。
聞き慣れない名前ですが、現代アートの世界では、今、大変人気の高い作家で、オーストラリアの中央砂漠、エアーズ・ロック周辺に住んでいる部族の女性です。

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わたしの砂漠の思い出
中央砂漠といえば、赤い大地と抜けるような青空、皮膚がひりひりするほど乾いた風、昼間の酷暑と夜の冷え込みといった風景と体感が甦ってきます。私は1980年から約20年ちかくフィールドワークを行いました。ランクルにいっぱい人と犬をのせて、カンガルー、ウィッチャリーグラブ(ボクトウガの幼虫)、蜜アリ採りのキャンプに行ったこと、道路脇の側溝に点々とたき火して一列に並んで夜を過ごしたこと、砂道でスリップして転覆、何時間も通りがかりの車を待っていたこと・・・あのときは、コーフンしてたのでしょうが、いま思えば、そらおそろしい。

80年代はミンパクの資料収集を精力的にやっていましたが、中央砂漠は拠点の1つでした。そして、この時期は現代アボリジニ美術の成立にとってまことに重要な時代だった事にいま気づきます。

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その頃の作品は質のいいものでも10万円もあれば手にはいる「民族資料」でした。エミリーとも直接会った記憶があるのですが、民族資料は作家を重視しないし、彼女も無名だったせいもあってその名を記録していない。その作品も木彫りのトカゲやバティックなど砂漠では普通に見られる女性のものでした。ところが、学芸員のN氏によると、現在、彼女の作品は1ピース一億円とか、民族学者にはとても手の届かない「美術品」となっているそうです。(クヤシー、金才のなさを嘆くばかり、もっとも、あれば学者なんかにゃなってないよねー)。

…つづく…
(カンチョー)
写真中:オーストラリア中央砂漠にて(1991年)
写真下:アーナベラの木工品の棚

コメント

  1. きょうちん より:

    出た、出た。 カンチョー。 矢パリカンチョー。

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