世界をかけるビール (ニューヨーク特派員だより3 :ランビック)

画像変わったビールの話題をひとつ。
「ランビック」というビールを聞いたことはあるでしょうか。

正式には、ベルギーブリュッセル の南西に位置するパヨッテンラント 地域でのみ醸造 される非常に珍しいビールスタイルです。

原料は大麦とホップの他に小麦も使用しますが、ランビックの最も大きな特徴は発酵時に純粋培養した酵母ではなく、自然酵母を使うことです。

以前にカンティヨンという醸造所を見学しに行ったことがありますが、ホップを加えた麦汁を天井裏にある大きなプールに移し、蔵つき酵母が落ちてくるのをジッと待つとのことでした。しかも天井の窓は開けっ放しです。もちろん関与する酵母は1種類ではなく、ほかに種々バクテリアも混入します。その後、木の樽に移して発酵・熟成させるのですが、ピュアなランビックはこのまま最低3年(!)熟成させます。こうなると、ビールというよりも穀物ワインと言ったほうがいいかもしれません。発酵中に生成する二酸化炭素は樽から抜けていってしまうため、できあがったランビックは無炭酸です。また、長期に及ぶ熟成中にほぼ全ての糖分が分解されてしまうので甘みはほとんど感じられず、酸味が際立っていた記憶があります。「ビール」と思って飲むとかなりのショックを受けます。

この古いランビックに若いランビックを混ぜたグースという種類もありますが、これはまだ若いランビックに残存する糖分を用いて密閉された瓶内で二次発酵が進むため、結果として炭酸が入ります。その他、ラズベリーや黒すぐりなどのフルーツを加えた華やかなランビックもあります (写真はKriek<サワ-チェリー>のランビック)

このカンティヨン醸造所は一般見学ができるのですが、日本語のパンフレットがおいてありました。あいにく今手元にないのですが、たしか伊丹の酒蔵である小西酒造さんが輸入をしている関係だったかと記憶してます。ホームページを見てみたところ、小西酒造さんはグースやフルーツランビックは扱っておられますが、ピュアなランビックは扱われていないようです。

気になる方は探してみてはいかがでしょうか。

(タケル)

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