町に杖を曳く :町歩きと博物館

永井荷風はへそ曲がりのエロじじい、浅草のストリッパーの肩を抱いてヤニ下がっている写真が雑誌に載ったりしてたので、マジメな文学少年としては許せんとおもっていた。ところが、最近、催眠薬がわりにちょうどいいやとおもって『断腸亭日乗』を読みはじめ、その文章にショックを受けた。幸田露伴が「涼しげな文を書く男」とほめたというから、作者冥利に尽きるもの、うらやましい。

月を愛で、花を楽しみ、鶯の声にうっとりする。先人の墓を掃し、石碑の文を写し、街角の食堂でトンカツを食う。今日も、町に杖を曳くとのべ、観察の文章だけでなく、スケッチやカメラを駆使して、勢力的に歩いている。川本三郎『荷風と東京』や橋本敏男『荷風のいた町』などに、その様子や意味が詳しく述べられ、東京の下町や市川市が、それを観光や文化活動のテコにして、盛り上がるという現象がおこっている。

画像吹田市でも町歩きの動きは盛んである。市の応援もあって、すいはくに関わりの深い人たちのなかにも、アルック吹田、ぶらっと吹田、岸辺自治会の有志、浜屋敷などでボランティアとして活躍している。竹林グループの整備やタケノコ掘りなども同じ系列にあると言えるだろう。自然や歴史のなかにはキラリと光る玉のような素材がいっぱい潜んでいる。それをどう発掘して磨き上げるか、それは、実際に、その地を歩いてみることに勝るものはない。博物館とは、そのような情報を発信する施設、つまりオリエンテーション・センターに他ならない。その結果が帰ってきて、新しい企画も考えて、しだいに充実させてゆくものであろう。

4月24日(土)から、春期特別展「古代摂津国考」がはじまる。それにかかわって、このところ垂水神社の難波の「高樋」の伝承に引っかかっているのだが、日本が国家としての体制を整えはじめた古代の伝承や碑文のある場所をつないだ、歩きコースができないだろうかと考えている。

(カンチョー)

コメント

  1. きょうちゃん より:

    ぼんやりと・・・。

    1.屋根のない博物館
    2.オンリーワン性
    3.テーマ性
    4.歩きたくなるようまち
    5.心をうごかす
    ・・・・
    6.掘り出す→磨く
    7.作る・造る
    ・・・・
    8.夢 (霧・青雲・新しい目標)
    9.クルクル

    ぼけーと・・・。

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