この夏の自然展の「ナマズキャラクター」のイラスト(byかたおかともこさん)を見たとき、「お!かわいい…」、万博市民展のパンダにつづいて「やるなあ…」と思ったものの、正直言ってけっこう心配でした。あれだけ大きな災害のあとで、この企画をやることはとっても勇敢だし皆が知りたいことに違いないけれど、これ、可愛すぎないのかな…?不謹慎だって声が出るんじゃないだろうか…?
でも、スケジュールの「お休みナマズ」は輪をかけてキュートだし、今回は市民が手作りした看板は「雨が降ると色が変わる!」という芸当までついて(看板の表面に布を貼ったため)、もう、皆が乗ってるならそれでいくのがいいかも!…と、自分なりに納得したわけです。
で、いざ始まって実際の展示を見たら、昔の「鯰絵」が面白いじゃあーりませんか!これは元祖「日本のキャラクター」だなあと。目に見えない「地震」という災害に形を与え、皆が忘れないように教訓化する…これはまさに「社会教育」のツールにマンガを使っているわけです。もしナマズ君の力を借りなければ、一生に何度も起きない大地震のことを、皆が覚えてるって、できたでしょうか?実は身近にいて油断がならない…という「ナマズによる地震のキャラクターづけ」は、すごくよくできた工夫だったと思います。少なくとも日本にいるかぎり、こいつとはつきあってかなきゃいけない。
一方でカンチョーは信楽へ飛び、「お守りナマズ」を信楽焼で津守愛香さんに作ってもらってきました。これがまた…!愛嬌があってしたたかで重くて…。実際の生き物を→平面イラスト化し→また立体キャラクター化する…ナマズは変幻自在です!
昔のカラクリである「鯰押さえ」も出ました。
これは祭の鯰ヤマについているカラクリから来たものですが、このように自然現象を戯画化する手法は、まさに自然と親しくつきあってきた日本人ならではの感性で、その「親しさ」を生み出すものの見方はいま世界で注目されている「ジャパニーズ・アニメーション」につながるものではないでしょうか。人生で一番怖い地震さえ、日本人は「親しさ」に置き換えて飼い慣らしてきたのです。大災害があった今、なんだか励まされるような話ではないですか?
ついにカンチョーもナマズになってしまいました。(中ナマ改めナマカン。伝・小山修三作)
日本が誇るエレクトロニクスとも合体!(なまずくん)
カンチョーの創作意欲は衰えず…(小ナマズ)
その気で探したら出るわ出るわ…(ナマズストラップ)
講師のさんがわ先生(元マンガ家志望)まで自らナマズになってしまわれました!
「せっかくやしほんもののなまずもてんじしようよ(^^ゞ てつ」という「なまずコメント」(2011/08/06 01:27)も…
自然を身近なものにしてしまう日本人の感性と、「キャラクター化」という表現手段と、みんなの社会教育の場である博物館の役割は、とても近いものだということが、今回よくわかりました。これからも魅力的なキャラクターがすいはくにたくさん登場するといいですね!
今回の特別展示は、今一番皆が知りたい最新のテーマに、果敢に斬り込んだ企画が満載でした。これまでの「すいはく」の特展の中でも、ずばぬけて「今」のテーマを扱ったと思います。状況が定まっていないうちにそれをやるのは、大変なことです。でもだからこそ、子供から大人まで大勢のお客さんが来られたのではないでしょうか?実行委員の皆さんの勇気に、拍手!
収蔵庫の地下に大なまずが眠っていませんように…。元から散らかってたのか、揺れて散乱したのか、わからなくなっちゃいますから…。
(by okkun)
コメント
中ナマには、胴に「小洞」という銘が入っています。
それは…「こぼら」って読むのか…「伝」小山修三作って直しときました。