一夜官女のまつりをたずねて :黒田一充氏講演会「宮座の祭り―供物を捧げる女性たち―」

一夜官女はどんじ祭りの背景となっている物語、司馬遼太郎は1962年に書いた小説で、なにわの津にそそぐ中津川のほとりにある、野里村の住吉神社の儀礼を題材にしています。旅の途上にあった小若という女性が村人の頼みを受け入れて人身御供となり、本殿で(自ら神だという)岩見重太郎と一夜を過ごす話。小若の上品な色気と青年剣士、岩見重太郎の涼やかさは、のちの「竜馬が行く」の登場を予言するような小品です。

画像それほど、色っぽくはなかったけれど、黒田さんの講演も、祭りと女性の話でした。一夜官女にかかわる祭りを追って、摂津、播磨、近江を歩いてとったスライドは、雪の日、雨の日、あの村、この町、まー、民俗学者はこまめに動きまわるもんですねー、宮本常一先生がそうだったけど・・ 。日本の祭りは、たいてい男性中心、しかし、ほんとにそうか、どんじ祭りに女性が登場するのは特別なのか?というのがお話の中心でした。

祭りには、時代とそれぞれの地方という要素が強くかかわるために、細部は多様に異っており、官女たちも男性が演じる例もあるそうです。いま、地方のお祭りは、現代化と都市化の影響で、「むかしどおり」の規模や興奮を維持するのは至難の業でしょう。まず、町おこしでしばしば論じられるような市民のプライドが基になる。そのためには、時代の流れをうけいれて行くしかないでしょう。祭りとはそんなものであることは、民俗学の調査からも明らかです。するとその将来は?「女性が中心となる祭り」が多くなるというのが私の感想です。

(カンチョー)

コメント

  1. てつ より:

    1962年に書いた作品ですか?
    千里ニュータウンが出来たのが1962年
    昭和37年 素晴らしい年ですね

  2. もぐら より:

    こちら石岡市ではお盆にジャーメ(蛇め?)という藁でつくった角のある蛇?を子どもたちが持って家々をまわる行事があるのですが、もともとは男の子しか参加できなかったのに…、男の子がいなくなっちゃって女の子も参加できるようにしたり、しなかったり…という感じのようです。

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