名作は萌芽より芳し: 小松さんとわたし(8)

画像たぶん1953年の初夏の頃、ぼくが京大の図書館でモーパッサンを読んでいたとき、閲覧室に入ってきた小松実(のちの左京)に呼ばれて廊下へ出た。書き上げたばかりの短編小説をここで読んでくれという。かすかな記憶だが、痩せつづける男の話だった。面白かった。当時痩せていた小松がニコリとした。

20年近く経って『日本アパッチ族』を読んだとき、あの廊下で読んだあの習作をおもいだした。あれが、名作のほんの萌芽だったのかも。 

(高田 宏)

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