小山修三館長退館記念講演会「森からのメッセージ-アボリジニに学ぶ-」

画像わたしは1979年から狩猟採集民であるオーストラリア・アボリジニ研究をはじめました。民族学はフィールド調査が基本ですから、彼らの村で一緒に暮らしました。わたしの専攻は考古学、なかでも縄文時代の社会に興味をもっていたので、人類最初の経済段階である野性の生活を体験することができると思ったのです。

ところが、現地で痛感したのは、彼らが伝統的な生活を守りながらも、圧倒的に強力な西洋文明にどう対応していくかが重要であることがわかってきました。視点をかえると、それは現代文明側がどう対処すべきかにも通じるとおもいます。

3・11は日本に大きな打撃を与えました。なかでも電力の30%以上を供給していた原子力発電がフクシマで崩壊、その後の動きもあって、ついにゼロになってしまったことが大きい。世界経済をゆるがせたあのリーマン・ショックの元凶が、アメリカの不動産・住宅経済であったが、それは全体のわずか1%にすぎなかったことを考えると、これは大変なことになると怯えました。ところが、わたしたちの日常生活を根本的に覆すまでには(今のところ)到っていません。ながく右肩上がりの経済になれてしまったわたしたちは、エネルギーをなんともムダに浪費し、それを当然と考えていたようです。

これに対して、市民のなかに自然を見直そうという動きは確実におこっていました。太陽光をはじめとする化石燃料以外の開発、電力節約、グリーンカーテンなどの自然のとりこみ、さまざまな試みがありそれは今いっそう盛んになっています。

個体としてみれば、人間の生活は、今も昔もそう変わらないと思います。ですから、この肥大化しすぎた現代文明から無駄な要素をどう剥ぎとって、これからのシステムをどう変えていくのか、真剣に考える時が来ていると思います。
アボリジニ社会は、その後も着実に近代化がすすんでいます。この講演では、1980年代のアーネムランドに住んで何がよかったか、何がつらかったか、そして何が必要だったのかを思い返しながら、わたしたちもふくめた将来のあり方を考えてみたいと思います。

(カンチョー)

小山修三館長退館記念講演会
「森からのメッセージ-アボリジニに学ぶ-」

●5月20日(日)14:30~16:00
●2階 講座室
(先着120名)
※16:00からは3階広場で館長卒業の謝恩会を行います。(会費制で1000円)

コメント

  1. チタン より:

    「きゃー30年前のカンチョー、かっこいい~」
    …と、コメントには書いておこう。

  2. okkun より:

    わわわわいるどだ~!これはたしかに「ボクは縄文系ですか?弥生系ですか?」という問いに「うーんキミは北京原人系!」と言われた頃をホーフツとさせます。(実話)

  3. てつ より:

    その 締まったお腹は どこへ行ったんでしょうか?
    カンチョーの若い頃なのに カラー写真なんですね

  4. kancho- より:

    これは1982年の写真ですが、このとき二ヶ月ほど村にいて10キロ以上やせました。鏡の前に立ったら何と腹筋がみえました。病気ではなく彼らと同じ食(毎晩ひもじい思い)、水汲み、薪ひろい、狩りや潮干狩りにこき使われたから。鏡の前に立ったら何と腹筋が見えました。日本に帰ってきたら背広がだぶだぶ、これでももてるぞーと思ったらそれは変わらなんだ。だからすぐもとにかえりました。

  5. みっちゃん より:

    30年前のカンチョーは、どこかまだ幼さが残るガキ大将のようでカワユイですね。そりゃーそうだ。今の私達の子どもの年代ですから。館長が無事に卒業できて母親のように嬉しいです。謝恩会の準備も進めております。みなさん、お越し下さい。

  6. MIHARA より:

    卒業おめでとうございます~20日は駆けつけられなくてスミマセン!前日からメイシアターで、吹田市市民文化祭の演劇連盟の春の演劇祭で缶詰でした。舞台出演が日曜日ちょうど2時半からで、今頃ファンが駆けつけてカンチョーとの温かい時間を持っているのだろうなって舞台の上で挨拶されている井上市長の声を聴きながら思っていました。
    オーストラリアはシドニーに親しい従姉妹がいるのでよく足を運んでいます。森の人アボリジニーの舞台は未だになかなか理解できなくて・・・・・いつまでも少年カンチョーお元気で!

  7. もぐら より:

    貴重なお写真を拝見しました(0_0)

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