万博を構想した書斎のコーナーに出ましたるは、タイプライター3台。
右から時代順にカタカナタイプライター(カナタイプ)
『知的生産の技術』に登場するひらかなタイプライター
そして、一番左が、まぼろしの電動カナかなタイプライター。
カナカナといってもセミじゃない、今は昔、日本語を機械にのせようとした人々の苦難の歴史を物語る証拠品です。
これが、今見ると何ともふしぎなタイプライターで、キー数は56、3段シフトで、平打ちだと「ひらかな」、上げるとカタカナ、下げるとローマ字が打てるというもの。それに加えてもう一つ大きな特徴は、縦書きで出てくることです。
英文を打つように日本語を打ちたい。ペンのかわりにタイプライターを!
最初は、英文タイプをつかって、ローマ字書きの手紙を出しておられた梅棹先生ですが、さすがにこれは読みにくいと苦情があり、そこでカタカナに。それでもやはり抵抗があったようで、ひらかなタイプになりました。
そしてついにたどり着いたのが、1台でカタカナ、ひらかな、ローマ字が打てるタイプライターという構想。機械メーカーB社と共同開発にのりだしたのでした。今展示している「カナかなタイプライター」は、その試作品です。しかし結局、オイルショックによる不況のあおりをうけるなど、さまざまな事情から商品化には至りませんでした。
この話の出典は、「カナかなタイプライター始末記」『梅棹忠夫著作集 18巻 日本語と文明』中央公論社、です。 (こぼら)
※世にも珍しい「カナかなタイプライター」のキーボードアップ写真を追加しました。英文キーの配列はいまのパソコンと同じですが、カナかなの割付はいまと違いますね。 (okkun)
■11月9日(金)14:00~梅棹さんのトーク■
特別ゲストに知的生産の技術をパソコンでという本を書いた中野不二男さん。どんな話が聞けるでしょうか?
中野さんのプロフィール
ノンフィクション作家。昭和53年に渡豪、シドニー・ドル・オリバー社技術部勤務。勤務のかたわらオーストラリア連邦政府の委託などを受け先住民アボリジニーに関する調査研究などを行う。昭和57年帰国。執筆活動に入り現在に至る。平成18年11月、東京大学工学系研究科において博士(工学)号取得。
PS.カンチョーのはなしだと梅棹センセ「昨日食べ過ぎで腹をこわして動けない」とか・・・一寸心配です。なおって来てくださるといいですね。
コメント
カナかなタイプライター。梅棹先生はキャッチコピーの名人ですね。皆さまも見習えばいかが?