大庄屋 中西家名品展の図録に35pに鉄絵俳句入角皿があります。これらは常設展示場に陳列されていました(後期展示替えで別のものに変わりました)。茶を飲むときにお菓子をのせるような10cmx10cmの小皿で、同じような皿が40枚ほどあります。それぞれに俳句や絵が描かれていますが、俳句は11代当主の八平治さんの手になるものといわれ、高槻の古曽部焼きの窯主4代五十嵐信平(1851~1918)が焼いたものです。
皿には、
蝶も来てとまりおるなりささ粽
昼寝せばそこらきょろりと眺めけり
などの俳句や狂歌が書かれています。
これらがいつ作られたのかは明確ではないのですが、古曽部の窯が明治末頃に廃窯になったそうなので、その頃までに制作されたものです。
前にこのブログ「中西家に名品展(その11)」で八平治さんが小学校でつかっていた教科書(百姓往来)紹介しましたが、そこにある字はまだ子どもらしさが残っていました。しかし、この皿は、八平冶さんは40代に入ったところで、大庄屋の伝統を継ぐ村の中心となる名家の当主の役割を果たしながら生活を楽しんでいたことが伺えます。
八平治さんは、先代が早くなくなり、明治初期の社会変動を経験するなど、苦難を乗り越えなければならなかったようです。しかし、長命で負戦の年になくなっています。だから古老たちのなかには八平治さんのことを覚えている方もいるかもしれません。古い記録もあわせて、波乱の時代を生きたこの地方の教養人の一生を復元してみるとおもしろいなという気がします。
(terra)
平成24年度春季特別展
「大庄屋 中西家名品展」
~7月1日
5月30日から後期の展示になっています。
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